ラン

高知県立牧野植物園で絶滅危惧種「ガンゼキラン」の大群落を見る、の巻

ガンゼキラン

乱獲による野生絶滅が危惧される「ガンゼキラン」。5月に訪問した高知県立牧野植物園でガンゼキランの大群落を見てきました。野生植物を守るために何が必要なのかを考えさせられます。

ガンゼキランの大群落7日間限定公開

牧野植物園の記事を書きたいと思いつつ、写真が膨大なので気持ちが萎え(笑)、とりあえずガンゼキランについて記事を書くことにしました。

今年は7日間限定公開されていたガンゼキラン。公開にあわせて行ったわけではなく、まったく知らずに訪問しました。

分布域外の人間なので、ガンゼキランそのものもまったく知りませんでした。静岡以南の人は知ってるランなんですかね?

 

ガンゼキラン

わたしのような知らない人のために説明しますと、ガンゼキランとは、日本では静岡県、紀伊半島、四国、九州、伊豆諸島、琉球列島に分布する地生ランです。台湾、フィリピン、マレーシア、インドにも分布しています。

渓谷沿いの照葉樹林内などに自生し、かつては広く見られたそうですが、園芸・販売目的の乱獲により急速に姿を消しており、環境省の絶滅危惧種に指定されています。

ガンゼキラン

高知が生んだ「植物分類学の父」牧野富太郎博士の功績を記念して開設された高知県立牧野植物園では、このガンゼキランのバルブをいまから7年前の2012年に森林内の斜面に植え付け、それ以降、コツコツと株分けを繰り返し、透き通った黄色の花が咲くガンゼキランの大群落を作り上げました。

ガンゼキラン

たしかこのひとかたまりのバルブから増やした、と説明されていた気がします。

当園の株は、環境省がレッドリストを策定するずっと前(約50年前)に高知県四万十町志和のとある農家さんが近くの山で保護し自宅圃場で増殖していたものです。7年前に株が来たときは、バルブ(偽球茎)だけの状態でしたが、そこから葉を茂らすまで回復させ、斜面の下から大群落を見渡すことができるまでになりました。牧野植物園「ガンゼキラン大群落7日間限定公開」より

ガンゼキランの名前の由来は、バルブがごつごつしていて「岩石」に似ているからだそうです。

ガンゼキラン

絶滅危惧種になってしまいましたが、もともとは各地に自生していたので、それほど栽培難易度が高いわけではないそうです。個体数減少の最大の原因は人が採取してしまうことで、自生地から一夜のうちに姿を消してしまったこともあるそうです。

こういったことは日本でも海外でも珍しいことではありません。オキナグサの記事アロエ・ポリフィラの記事で、この問題についてちょっと書きました。シランも野生絶滅が危惧されています。

カリフォルニアでは海岸に自生するダドレアを大量に採取して密輸していた韓国人や中国人が逮捕されています(The Guardianの記事)。

ガンゼキラン

少し下を向いて咲くので、少々撮影しにくいです。ズームで撮ってるので、ちょっとボケてます。斜面下の通路はかなり狭いので、譲り合って、写真を撮る際も周囲に気をつけましょう。

また、斜面に設けられた小道と階段を降りたところにあるので、歩きやすい靴で行きましょう。お年寄りも多いのですが、かなり急斜面ですので階段を降りるときは気をつけてください。

ガンゼキラン

このような斜面なので世話も大変だそうです。7年でだいぶ増えましたね。すばらしい。これからもっと増えてさらにたくさん咲くようになるでしょう。

 

おわりに

牧野植物園は、牧野博士が若き日に植物採集を行った五台山にあります。高知県四万十町で採取されたガンゼキランが、この地で、ひとかたまりのバルブから大きな大群落になりました。

ガンゼキラン

自然を破壊する側の人間になっていないか。自然を育む側の人間になるにはどうしたらいいのか。残された自然を守るには何が必要なのか。この大群落がそんなことを考えるきっかけになればいいなと思います。

高知はとてもいいところだったのでまた行きたいです。開花期間が短いのがちょっと残念ですが、5月に高知を訪れる人は、牧野植物園のホームページでチェックしてみてください。

高知へ行くなら「モネの庭」もね。下記の記事をご覧ください。ではまた。

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