イギリスに行ったら植物が好きなら一度は訪れたいキューガーデン(Kew Gardens)。この植物園が園芸の歴史において果たした役割は大きく、2003年にはユネスコの世界遺産に登録されています。キューガーデンのおすすめの見所や行き方をご紹介します。
目次
おすすめの見所
キューガーデンの敷地は広大なので、1日かけてもおそらく回りきれません。全部を見ようと思う必要もないと思います(ヘトヘトになるでしょう)。花の季節に応じてどこを見たいか決め、ざっくりとルートを決めて行ったほうが無駄に歩かなくていいですよ。そこでおすすめの見所をご紹介します。
パームハウス
キューガーデンといえばここ!というシンボル的存在の温室です。外観は一番上の写真をご覧ください。
建設は1844年。ビクトリア時代の探検家たちが熱帯から持ち帰った植物を展示するために、ハイドパークも設計した建築家デシマス・バートンの設計に基づき、鋳鉄業者のリチャード・ターナーが建設しました。
このような規模の温室の建設は前例がなかったため、彼らは造船の技術を温室の建設にとりいれました。パームハウスが上から見ると船をひっくり返したようなかたちをしているのはこのせいかもしれません。
らせん階段をのぼろうとしたのですが、高所恐怖症ですし、くらくらしてきて断念しました・・・。上のほうはものすごい湿気です。霧状の水をまいています。
らせん階段をのぼると、上の通路を歩くことができるので、こわくなかったらのぼってみてくださいね。
なかには世界中から集められたたくさんの熱帯植物が展示されています。とくに「なんだこれ?」と思ったのがこれ。
Sterculia mexicanaという「ピンポンノキ属」の植物だそうです。面妖な・・・。でもきれい。
アンリ・ルソーが喜びそうな擬似ジャングル。ジャングル行きたい。
ヘリコニア・ロストラタ(Heliconia Rostrata)ですね。
このピンクのひもはよく見るけど・・・なんだっけ。アマランサス的な何か。
というわけで、まあ古い普通の温室なんですけど(笑)、初めての人はまずここを目指しましょう。
裏手にはバラがたくさん植えられています。バラの時期ならきれいですよ。
テンパレートハウス
2018年5月、数年がかりの大改修を終えて、もう一つの温室「テンパレートハウス」が再オープンしました。
60億円もの予算を投じられてよみがえったピッカピカの温室。下記の記事でレポートしていますのでよかったらどうぞ。
ウォーターリリーハウス
今年6月に行ったとき「あれ、こんなのあったっけ? うわ、すごいきれい」と思ったのがここです。前も見たのかもしれませんが、だいぶ前ですし時期が悪かったのでしょう。記憶に残っていませんでした。扉を開けると「秘密の温室」のような美しい世界がありました。
「扉を開けるとそこには・・・」って感じじゃありませんか。こんな温室がほしい。ハスやスイレンのほかにメディニラなども咲いています。
スイレンの咲いている時期に行きたいですね。6月、7月くらいでしょうか。パームハウスの右裏手にあります。
マリアンヌ・ノース・ギャラリー
今年キューガーデンを再訪したのは、このマリアンヌ・ノース・ギャラリーに行きたかったからでした。
数年前に「イングリッシュガーデン 英国に集う花々」というキューガーデン所蔵のボタニカルアートの展覧会が開催されたときに、マリアンヌ・ノースの作品がいくつか展示されていて、それでたいへん興味を持ったのです。
マリアンヌ・ノースは、いいところのお嬢さんだったのですが、父親が莫大な財産をのこして亡くなった後、たった一人で世界旅行に出かけ、世界各地で植物の油絵を描き残しました。いわゆる「ビクトリアン・レディー・トラベラー(ビクトリア時代の女性旅行者)」の一人です。描いた作品数は13年間で800枚にのぼります。
絵の特徴は、はっきりとした色彩で植物の特徴を描いていることで、植物学的にも価値のあるボタニカルアートになっています。彼女が絵を描いた場所の景色が、開発によって現在どのように変わってしまっているか、という展示もありますのでぜひご覧ください。
わたしは彼女の生きかたに憧れますし、勇気づけられます。人生の「マイ師匠」に認定したいと思います。
マリアンヌ・ノースギャラリーは、ビクトリアゲートをはさんでパームハウスとは反対側にありますから、ちょっと歩きます。
こちらは上記の展覧会会場で販売していた本です。ボタニカルアートがとてもきれいです。
グレート・ブロード・ウォーク・ボーダーズ
Great Broad Walk Bordersという覚えにくい名前のボーダー花壇。道の両側にびっしりと3万本の植物が植えられており、色彩のレイヤーがとてもきれいです。ここが一番お花が多いんじゃないでしょうか。
アルストロメリア、エルサレムセージ、アリウム、リーガルリリー、フォックステールリリー、セファラリア・ギガンティア、ノコギリソウ、アスチルベなどが植えられ、イギリスのガーデンらしい景色です。植物が健康で大きいのにびっくり。
プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー
1987年にプリンセス・オブ・ウェールズのオーガスタ妃を記念して、プリンセス・オブ・ウェールズのダイアナ妃が建設した温室だそうです(ややこしい)。
さまざまな気候帯の部屋があり、サボテン、熱帯植物、ランなどを見ることができます。ここは時間があったらどうぞ。ビクトリアゲートから近いです。
わたしの大好物メディニラ・マグニフィカ。ジョイフル本田で売ってたけど育てられるんだろうか。
アガベ的な何かとバーベナまたはスターチス的な何か。自分で撮影しておいておぼえていないのですが、こういう混植もきれいですね。
ギフトショップ&園芸店
ビクトリアゲートに大きいギフトショップと植物のショップがあります。ギフトショップはお値段少々お高めかな。ロンドンですから。でもすてきな商品が多いですよ。わたしはマグネット(3ポンド)2個とマリアンヌ・ノースの本(15ポンド)と絵葉書(1ポンド)を購入しました。
キュー王立植物園への行き方
電車・バス
最寄駅はディストリクトラインのKew Gardens駅です。ロンドン中心から30分ほど。駅からは歩いて6分です。
わたしはキングストンのホテルに泊まったので、65番のバスに乗って行きました。65番のバスはビクトリアゲート(Victoria Gate)の前でとまります。
ビクトリアゲートがメインエントランスになっており、お店やカフェがありますし、パームハウスなどにも近いです。手前のライオンゲート(Lion Gate)にはチケット売り場しかありません。
料金
チケットは公式サイトで購入すると1ポンド安くなります。
大人 切符売り場15ポンド オンライン購入14ポンド
4歳以下 無料
4歳から16歳 切符売り場3.50ポンド オンライン購入2.50ポンド
営業時間
オープン 朝10時(毎日)
クローズ 午後6時(10月28日まで)
10月28日以降のクローズ時間はこちらで確認してください。
おわりに
とにかく花がたくさん咲いているイングリッシュガーデンが見たい、というのであれば他の場所のほうがいいかもしれないのですが、イギリスにおける園芸の歴史を知るうえで、やはりはずせないキューガーデン。
上の写真をご覧いただいてもわかるように、イギリスが世界中で収集してきた異国の植物がベースになっています。マリアンヌ・ノースの絵を見るとさらに味わい深いです。
もっと狭いほうがありがたいと思うほど広いので、歩きやすい靴で、休憩しながらゆっくり楽しんでください。
行く季節も重要です。何が見たいかにもよりますが、5月下旬から6月が一番よいのではないかと思います。
ロンドンなら電車で30分くらいですので、ぜひ興味があったら行ってみてください。