イギリス

ウェッジウッドのビジターセンターの行き方。陶芸博物館と工場を見学しよう、の巻

ワールドオブウェッジウッドの建物とアリウム

ストークオントレントの陶器メーカー訪問記、第2弾はウェッジウッド。

ストークオントレントには、ウェッジウッドのビジターセンター「World of Wedgwood」とアウトレットのお店があります。

ストークオントレント郊外のバーラストンにあるワールドオブウェッジウッドのほうには、博物館、工場のほか、カフェ、ティールーム、フラッグシップショップ、小規模アウトレットなどが併設されています。

博物館で歴史に触れたり、近代的工場を見学したり、絵付け体験をしたり、カフェでアフタヌーンティーを楽しんだり、ご希望に応じてさまざまな体験ができる施設です。

ストークオントレント陶器メーカー訪問記第1弾「ストークオントレントで陶器工場見学と絵付け体験、エマ・ブリッジウォーター編」もあわせてお読みください。

ではウェッジウッド編スタート!

ウェッジウッド社ビジターセンター【World of Wedgwood】

ワールドオブウェッジウッドの外観

ゴミひとつ落ちていない、近代的というか、やや近未来的なウェッジウッドのビジターセンター、ワールドオブウェッジウッド。右手に正規品のショップやティールームがあります。

わたしは土曜日に行ってしまったので、あまり人がいません。工場見学は毎日行われていますが、平日のほうが人がたくさん働いているのでできれば平日のほうがよい、とガイドさんが言っていました。

 

イギリス陶芸の父ジョサイア・ウェッジウッド

ビジターセンターに到着後、ファクトリーツアーの開始時間まで時間があったので、さきに博物館を見学しました。

博物館を見学すると、創業者のジョサイア・ウェッジウッドが、いかに研究熱心な人であったかがわかります。孫のチャールズ・ダーウィンにも、そんなところが受け継がれているようです。

 

天然痘の後遺症で右脚を切断

ダーウィンは生涯を通じて原因不明の病気に苦しめられましたが、祖父のジョサイアも天然痘にかかり、右脚を切断しています。

彼は陶工の家に生まれ、13人兄弟の末っ子でした。

ジョサイアの父親は、まだ彼が小さい頃に、20ポンドの遺産を残して亡くなります。彼は学校をやめ、長兄がやっていた小さな製陶所でろくろ工として働きはじめます。このときまだ11歳。

やがて彼はひどい天然痘にかかり、以後の人生ずっとその後遺症に苦しめられ、ついには右脚を切断することになります。

サミュエル・スマイルズの『自助論』に、ジョサイア・ウェッジウッドについてこう書かれています。

下院委員のグラッドストンがバースレムでウェッジウッドの追悼演説を行ったとき、その感動的なスピーチで、ウェッジウッドを苦しめた病気がその後の彼の活躍に大いに関係していると言いきっている。

「病気のせいで、ウェッジウッド氏は五体満足で身体を思いどおりに動かせる人のようには活動することができませんでした。しかし一方で、そういう労働者になれないなら、何かほかのこと、何かもっと大きなことができないかと考えるようになりました。病気は、彼の心を内側へと向かわせたのです。自分の芸術を確立させる秘訣の探求へと。で、どうなったでしょうか。彼はそれをわがものにしました。古代アテネの陶工も追い求め、そして間違いなく自分のものにしていた秘訣を」

偉い人だ!

「秘訣」というのは、具体的には、彼が製法を編み出した「真っ白」や「青」の陶器のことだと思います。それまではクリーム色の陶器しかなかったため、非常に画期的だったのです。

苦難に負けずに自分にできることで最大限に自分をいかす。彼と同じレベルでは到底無理ですが、心かげていきたいと思います(キリッ)!

 

反奴隷制運動に参加

ウェジウッド奴隷解放メダリオン

ジョサイア・ウェッジウッドは、奴隷制度を基盤とする紅茶文化に恩恵を受ける陶器メーカーの経営者でありながら、奴隷制度に反対の立場をとっていました。そして自費で奴隷制度廃止キャンペーン用のメダリオン(写真中央)を制作し、人々に配布したそうです。

カメオのモチーフは、ひざまずいた黒人奴隷。そのうえに「Am I not a Man and a Brother? (わたしは人間ではないのか、兄弟ではないのか?)」と書かれています。

ルナー・ソサエティ

また彼は、ダーウィンの父方の祖父エラズマス・ダーウィンが設立した「ルナー・ソサエティ」の会員でもありました。ルナー・ソサエティ(The Lunar Society of Birmingham)は、1765年に設立された科学者たちの交流団体で、蒸気機関を発明したジェームズ・ワットもそのメンバーでした。

すごい。時代ですかね。いまでいったらシリコンバレーみたいな? いやそれ以上ですね。

ルナー・ソサエティというのは「月の会」という意味ですが、なぜこのような名前かというと、議論が白熱すると夜になってしまい、真っ暗な夜道を帰るのは危険なため、月明かりのある満月の夜に会合を開いていたからだそうです。

 

ウェッジウッドのデザイナーたち

ウェッジウッド博物館展示物スケッチ

創業家の歴史の紹介のあと、さらに時代ごとのウェッジウッド製品の展示が続きます。それぞれのデザイナーの特徴がわかって面白いです。歴代のデザイナーが、どんなものからインスピレーションを得ていたかがうかがえる、興味深い展示でした。

ウェッジウッド博物館展示物本

デザイナーが植物モチーフの参考にしていた本。かわいい。昔のこういう植物イラスト本って好き。女性のチーフデザイナーもいたんですね。

さらに展示物からわたしが気にいったものを一部ご紹介。

ウェッジウッド展示品

ウェッジウッド博物館の展示品

ウェッジウッド博物館の展示物

ウェッジウッド博物館展示物

ウェッジウッド博物館展示品

絵を描いたり、デザインしたりする人はインスピレーションをもらえるかもしれませんね。

そんなこんなで、熱心に見ていたら、ファクトリーツアーの開始時間を15分も過ぎていました! ボケ始めるには少々早いんですけど・・・。ショックだ・・・。

 

工場見学

ウェッジウッドの工場は、エマ・ブリッジウォーターやミドルポートポタリー(バーレイ)と違って近代的な設備です。

また、最初にも書きましたが平日に行かないと、当たり前ですが働いている人があまりいません。各所に何人かはいますが、平日のほうが活気があるようです。

製造工程の見学のほか、絵付け体験陶芸体験もできます。詳しくはそれぞれリンク先でご確認ください。

 

料金(工場見学と博物館のセット券)

大人 15ポンド
子供 7.50ポンド

公式サイトからオンラインで事前に購入すると少し安くなります。

工場見学ツアーはガイドなしで見てまわることもできます。ガイドツアーはお客さんが集まったら始まるようで、サイトには「10時から11時くらいに到着するのをおすすめします」と書いてあります。わたしは10時についたのですが、「10時45分に受付に来てください」といわれました。

そして遅刻した・・・。「つぎは?」と聞いたら1時半と言われたので、追いかけて行って参加しました。

 

お買い物&カフェ

フラッグシップストア

ワールドオブウェッジウッドのディスプレイ

ワールドオブウェッジウッドには正規品を扱うフラッグシップストアとアウトレットがあります。正規品ほうは、さすがにいいお値段のものが並んでいます。お金があるなら買い揃えたいですが・・・。

ワールドオブウェッジウッドのショップ店内

工場のほうでガイドさんが言っていましたが、お金持ちは、金の入った手書きの絵付けのディナーセットなどをオーダーするそうです。王室関係のだれそれが、これをいまオーダーしてる、とかなんとか言っていました。そんなの割ったらどうするの!

 

アウトレット

アウトレットのほうはあまり大きくないので、アウトレットでのお買い物が目当てであればエトルリアにあるアウトレットに行ったほうがいいと思います。本投稿の最後に地図があります。

ワールドオブウェッジウッドのテーブルディスプレイ

フラッグシップストアにあったテーブルデコレーション。ガーデンの地面で食べるイメージ? なかなか斬新だ。

 

カフェ・レストラン

わたしはThe Dining Hallというカフェで紅茶とケーキをいただきました。ここが一番カジュアルな感じかな。ティールームでは、ウェッジウッドで優雅にアフタヌーンティーができるそうです。

 

ワールドオブウェッジウッドへの行き方

ストークオントレントの街中からは少し離れているので、タクシーかUberを利用したほうがいいと思います。この敷地だけでかなりの広さがあります。バスもあるにはあるのですがバス停から離れています。

わたしはuberを利用しました。 タクシーよりもアプリを押せばすぐ来てくれるので、その点は便利です。お得なのかどうかはよくわかりませんが、ハンリーにあるホテルから11.76ポンドでした。駅からはもう少し安いかと思います。

帰りは、Uberが周辺を走っていないので、受付の人にタクシーを呼んでもらい、ホテルに戻って預けていたバッグを引き取ってから、同じタクシーで駅に向かいました。20ポンドでした。

地図

営業時間

毎日10時から17時

 

アウトレット

ワールドオブウェッジウッドにも小規模なアウトレットはあるのですが、エトルリアという地区にもっと大きなアウトレットのお店があります。

営業時間

日曜日 10時から16時
 
この記事をシェアする
Previous Post Next Post