「園芸ブロガー12ヶ月」の2月です。1月にのほほんと始まったこの雑文コーナーですが、いきなり人類にピンチがやってきまして、頭の中はコロナウイルスでいっぱいです。やばい、すでに感染者(笑)。今回はなぜ園芸ブログで新型コロナウイルスについて書くことにしたのかを振り返りたいと思います。誰も興味ないと思うんですけど・・・。
新型コロナウイルスの記事を書いた理由
武漢市で新型コロナウイルスの感染が広がって深刻な状態であるというニュースを聞いたのは、正確には記憶していないのですが1月20日頃だったでしょうか。その前に「武漢で謎の肺炎が流行」というニュースもありました。
中国は、もう数十年前から「パンデミックが起きるなら中国から」と言われていました。
1997年に香港で鳥インフルエンザが人に感染したことがあり、幸いにして大規模なヒト・ヒト感染には至らずに食い止められたのですが、それ以来、中国で鳥インフルエンザが発生というニュースがあるたびに、世界のウイルス専門家に緊張が走る、という状況がずっとありました。
一番の原因は、家畜(および人)と野生生物が接触する機会が多いからです。
野生生物と接触する機会が多いために、それらを宿主とするウイルスが、まれに家畜(とくに豚)や人間に感染することがあり、ウイルスの遺伝子に変異が起き、ヒト・ヒト感染する能力を獲得します。
それでしばらくニュースに注目していたのですが、どうも今回は本気でやばいっぽいなと確信したのは、2003年にSARSコロナウイルスがアウトブレイクしたときに活躍した香港大学の袁國勇教授が、Time誌のインタビュー動画で警告を発していたのを見たからでした。
Virus Expert On The Wuhan Coronavirus Outbreak: ‘We Must Treat It Extremely Seriously’ | TIME
SARS研究第一人者の警告
この先生は、香港でSARSがアウトブレイクしたときに初めてウイルスの分離に成功し、Time誌の「アジアの英雄」にも選ばれた微生物学者・外科医です。
その先生が「SARSよりも感染力が強い恐れがある。Don’t be complacent. (甘くみてはいけない)」と冷静ながらも強い警告を発していたのです。
それで「少しビビりすぎなのかな」と思いつつも、「予防ってどうすりゃいいの〜」と同じことを思っている人がいると思い、記事を書き始めました。
ただ、基本的に園芸ブログなので、素人の記事なんて誰も読まないだろうし、検索から人が来ないだろうし、Googleの検索順位が下がるかもしれないし、なんかウイルスとか気持ち悪いし、見たくない人もいるだろうし、と思って公開を迷っていました。
でも奈良のバス運転手さんの感染が報道され、国内ヒト・ヒト感染が確定した時点(1月28日)で思い切って公開しました。
この時点では「ビビりすぎだったわ(笑)」という結果になることを少し期待していました。
すると、翌日からすぐに検索流入がありました。
新しい記事は検索結果の最後のほうに表示されるので、ふつうはそういうことはありません。多くの人が検索結果ページを最後のほうまで見ている、つまり欲しい情報を探していることがわかりました。
今も少し流入があるので、高齢者や持病のある方々が不安を抱いていることがうかがえます。刻一刻と状況が変わるなかで、果たしてそういう人たちにタイムリーに情報が届いているのでしょうか。
ちなみに日本では「マスクは効果がないから不要」という声もありますが、上記の袁國勇医師は「マスクは絶対にしてください」と言っています。
こういうこと一つにしても、あっちこっちでいろいろな説が飛び交っているわけです。
医療崩壊を防ぐ
昨日も「若い健康な人は重症化しない。だからたいしたことない」と医師がテレビで言っていました。
しかし日本は高齢化社会ですし、高齢者で病床がいっぱいになれば医療崩壊が起き、若い人でも死亡者が増えてしまいます。おそらくいまの中国はそういう状況でしょう。
医療の専門家には「高齢者や障害者を守るため、社会全体で感染拡大を食い止めましょう」と呼びかけてほしいです。
現在、感染症指定医療機関の病床数は約1700床しかありません。高齢者がどんどん感染すれば、若い人も高度な治療を受けられなくなる可能性があります。
健康弱者を守る
中国では父親が隔離された脳性麻痺の少年が、自宅に一人で取り残されて亡くなってしまいました。
当局は、息子の世話を約束したにもかかわらず、数回しか自宅を訪問しなかったそうです。医療・行政が崩壊すれば、最悪の場合、このようなことが起きます。
早期の警鐘に耳を傾ける
また今日は、武漢中央病院の眼科医(34歳)が死亡したというニュースが入ってきました。
12月下旬に新型ウイルスの流行を警告し、当局から「デマの流布」で戒告を受けていた8名の医師の1人です。
危機を見越して警鐘を鳴らしてくれた医師たちを「デマを流すな」と押さえつけた結果が、今の武漢の現状です。
All truth passes through three stages.
First, it is ridiculed.
Second, it is violently opposed.
Third, it is accepted as being self-evident.
すべての真実は3つの段階を経る。第一に嘲笑される。第二に激しい反論にあう。第三に自明のこととして受け入れられる。(アルトゥル・ショーペンハウアー)
勇気ある医師のご冥福を祈ります。
おわりに
袁國勇教授はおそらく今香港でコロナウイルス対策の陣頭指揮をとっていると思います。香港は中国本土からの渡航を早めに制限し、感染者数は日本をやや下回っています。
もちろん日本も深刻な事態にならない可能性はまだ残っていますし、そうあってほしいのですが、こればかりは現時点ではわかりません。
結局のところ、こういう状況では、個人は自分で状況を判断して、先を見て動くしかありません。
Don’t be complacent.
油断することなく、自分でやれることを落ち着いて淡々とやりましょう。
ではまた。