お花屋さんに行くと最近は小さな多肉植物の寄せ植えを売っていますよね。カラフルでとてもかわいいのでプレゼントとしても人気ですが、育て方がわからなくて枯らしてしまう人も多いのではないでしょうか。そこで今回は寄せ植えを枯らしてしまう理由と対策を考えてみます。
理由その1 根が充分に張っていない
多肉植物の寄せ植えは、挿し木や葉挿しから育てたプラグ苗を小さな鉢にピンセットで植えて、そのうえに化粧砂をのせてあるものが多いです。土を固めてある場合もあります。
多肉植物は根がなくてもしばらくは枯れませんから、最悪の場合、固めた土にカット苗を挿してあるだけの場合もあるでしょう。表面からではよくわかりません。
この上の写真も植えてあるように見えますが、カットしたものを土にのせただけなので根はありません。普通の植物では根がないとすぐにしおれてしまいますが、多肉植物は葉に水分を蓄えているのでこのまましばらくは根がない状態でも大丈夫なのです。
したがって、このような根が張っていない、あるいは根が少ない多肉植物の寄せ植えに頻繁に水やりをすると、土が乾かないため雑菌が繁殖しやすくなり、最悪の場合、枯れてしまいます。
多肉植物は転がしておいても水不足で枯れることはそうそうありません。上の写真は夏に2ヶ月半放置した状態です。
多肉植物の寄せ植えを購入したら、しばらくは水やりをしないで育ち具合を見ましょう。春や秋ならばすぐに根が出るのであまり心配はありませんが、とくに冬は根があまり動きません。
冬は植物の活動が落ちる時期なので、根があっても乾かし気味に育てましょう。またそのほうが紅葉を長く楽しめます。
解決策 しばらくは水をやらない
理由その2 急激な環境の変化
多肉植物の小さな寄せ植えは、ホームセンターや駅ビルのお花屋さんでよく見かけます。あのような環境では日光を浴びられないので、多肉植物の体力はガリガリと削られていきます。
買ってきた多肉植物の寄せ植えを、つぎの2つの場所に置くとします。
1)室内の暗い場所に置く
2)屋外の直射日光下に置く
いずれも極端な例ですが、すぐに見てわかるダメージがあらわれやすいのは、2)だと思います。最悪の場合、いわゆる葉が「焦げる」という状態になります。とくに初夏や台風後には注意が必要です。
なぜこうなってしまうかというと、2つの理由があります。
長期間暗い場所に置かれていた多肉植物は、葉緑素(クロロフィル)が乏しい状態になっています。葉緑素が少ないので光合成がうまくできません。このため光エネルギーをうまく利用できず、光エネルギーが過剰な状態になりがちです。
この過剰な光エネルギーは、植物の中で活性酸素を生じさせます。この活性酸素によって細胞が破壊されてしまうのです。
もう一つは日光による熱です。生物の細胞は高い温度に弱く、吸収できる熱の限界値があります。限界値を上回ると、細胞が破壊されてしまいます。
これが多肉が「焦げ」る理由です。
買ってきたばかりの多肉植物は屋内の明るい場所に置き、だんだんと明るさに慣らしてから、最終的に屋外の明るい場所で育てられるようにしましょう。
解決策 いきなり強い直射日光にあてない
理由その3 根腐れしている
多肉植物の寄せ植えは、売り場にあるときに水をたくさんもらいすぎたせいで、すでに根腐れしているかもしれません。とくに底に穴が開いていない容器に植えられたものや、ポット苗を容器に入れたものなどは要注意です。
根の成長には酸素が必要です。鉢底に水をためていると酸素不足になって根が死んでしまい、そこへ雑菌が繁殖します。雑菌が茎の中へと侵入すると、茎も腐ります。
土が乾きにくいようであれば植え替えをしましょう。すでに茎が黒くなっている場合には、黒いところをカットして挿し木や葉挿しをする必要があります。そうしないと全体に雑菌がまわって枯れてしまいます。
カットした挿し木は、風通しのよい明るい場所に置きます。
体力がないので根が出るまで時間がかかるかもしれませんが、根が出れば成長しますから、辛抱強く待ちましょう。ここで根がないのに水をあげていると、また腐らせることになります。
解決策 根腐れしていたら植え替えまたはカットをする
おわりに
小さい鉢に多肉がぎっしり植えられたミニ寄せ植えは、あのままの状態をキープすることはできません。
暖かくなるとすぐに伸びてしまいますし、鉢の中も根詰まりしてしまいます。植え替えに適した時期がきたら早めに植え替えて、多肉がのびのびと成長できるスペースをつくってあげましょう。
多肉植物を育てるのが初めてなら、入門書的な本を読んで、多肉植物がどういうものかを理解することをおすすめします。
わたしの持っている本はこちらの2冊。いずれも入門書としておすすめです。
ではまた。