2014年、世界最小の睡蓮がキューガーデンの温室から盗まれました。悲しいことに自生地から植物園から個人のお庭から植物が消えています。貴重な植物もご近所さんの大切な植物も、盗むのはダメ絶対! 世界で起きている植物盗難事件のごく一部を紹介します。
目次
姉さん、事件です。睡蓮が盗まれました。
「花泥棒」というと、たいした犯罪ではないと思う人もいるかもしれませんが、盗まれた植物が自生地では消滅していると思われる世界最小の睡蓮だったらどうでしょう。
出典:Wikipedia 著作権者:C T Johansson(CC BY-SA)
スイレン科のNymphaea thermarumという植物で、葉の直径は1センチ前後。指の爪の大きさほどの白い花を咲かせます。
この花は1987年にルワンダにある淡水温泉で発見されました。温泉がこの植物の生育に適した環境を形成していたのですが、温水が開発によって枯渇してしまったために、2008年頃から自生地では確認できていないそうです。
ドイツのボン植物園の専門家が、自生地から持ち帰った株から試行錯誤の末に繁殖に成功。キューガーデンではその繁殖株を展示していました。
現在も世界各地の植物園に100株しか存在せず、絶滅が危惧されています。キューガーデンの温室には24株あり、そのうち1つが泥の中から消えていました。今回が初めてではなく、2度目の被害です。
繁殖目的の窃盗は、キューガーデンをはじめ世界各地の植物園にとって大きな悩みの種になっており、希少な植物だけでなく、お店で普通に売っているようなものも盗まれるそうです。
このままでは、希少な植物の保護と植物の公開展示という植物園の2つの目的が、両立しにくくなってしまうのではないでしょうか。
ガーディアンの記事:Why would someone steal the world’s rarest water lily?
CNNの翻訳記事:珍しい「世界最小のスイレン」が盗まれる 英王立植物園
姉さん、事件です。観葉植物が盗まれました。
アメリカで観葉植物を販売している業者さんが温室を公開したところ、温室のあちこちにブチ切られた植物が見つかったため、犯人とみられる女性を問い詰めたところ、バッグのなかからカットされた植物が大量に出てきたそうです。被害額は22万円相当!
記事によると、アメリカはInstagramのせいか珍しい観葉植物がブームになっており、インスタ映えする斑入りのモンステラなどが異常な高値になっているようです。
カットした茎がebayで200ドルで取引されてるって書いてありますよ。はぁ? マジで? ジョイフル本田で1700円くらいで見た気がするよ。
Gigazineの翻訳記事:観葉植物の一部を切り取って持っていく窃盗犯が増加、いったいなぜなのか?
ガーディアンの元記事(英語):A growing concern: is it ever OK to steal plant cuttings?
姉さん、事件です。多肉植物が盗まれました。
カリフォルニアの海岸にはダドレア(Dudleya farinosa)が自生しています。一帯は国立公園になっており、植物の採取は禁じられています。
出典:Wikipedia 著作権者: Stan Shebs(CC BY-SA)
このダドレアを大量に採取して箱詰め(60箱!)にして中国へ送ろうとした中国人が逮捕されました。中国では5000円前後で売れるそうです。この人は5000ドルの罰金と240時間の社会奉仕活動、3年間の保護観察処分になりました。
また850個以上を違法採取した2人組の韓国人は、わざわざビザを取って韓国から来たそうです。2000個も採取した3人組も逮捕されています。
ガーディアンの記事(英語)に写真がありますが、ひどいです。
カリフォルニア州魚類野生生物局の人がダドレアを海岸の崖に植え直している映像がYouTubeにあります。
Dudleya Farinosa Replanting Effort(YouTube)
2000株を約30人のボランティアが植え直したそうです。またとられないといいけど(涙)。
姉さん、事件です。盆栽が盗まれました。
盆栽というと埼玉県の盆栽村が有名ですが、近年、その盆栽村で高価な盆栽の盗難が頻発しています。
NHKで取り上げられたときの記事がよくまとまっていますので、そちらから引用します。全文はリンクからご覧ください。
防犯カメラも設置した、番犬も飼った、敷地に有刺鉄線も張った。しかし番犬も殺害され、有刺鉄線は切断され、盗難が繰り返されているそうです。
「番犬も殺害され」!!!
ベトナムの人が自分の庭を撮影した写真。そこに盆栽園にあったものとよく似ている複数の品があったというのです。
次々と盗まれる樹齢数百年の歴史ある盆栽。それがことごとくベトナムのコレクターの手に・・・。
盆栽は容易には海外に持ち出しできないはずです。間違いなく大規模な組織が動いていますね。
自分の想像ですが、これからこれらの高級盆栽は、現代アートや誰も住まない不動産と同じように、アジアのお金持ちのあいだで転売されていくんじゃないでしょうか。
日本の貴重な文化なので、本当に勘弁してほしいですね。
盆栽っつーか、わんこ殺害事件じゃん(涙)。死刑で。
姉さん、事件です。日本人が多肉植物を盗みました。
昨年、南アフリカで多肉植物を違法に採取した日本人が逮捕されました。静岡市環境局に勤務する40代の男性職員で、逮捕から判決まで2か月近く拘束され、およそ2万ランド(約16万円)の罰金刑が下りました。
静岡市の職員だったせいか大きく報道されましたが、日本人が南アフリカに行って違法に動植物を採取して逮捕されることは前からしばしばあるようです。
(1)2003年9月4日、西ケープ州オーツホーンにおいて、日本人が許可無しで
約550本の多肉性植物を採取し逮捕され、裁判の結果75,000ランドの罰金
刑の判決を受けた。(2)2003年10月、西ケープ州セダーバーブ公園において、日本人が不法に蜘
蛛1匹を採取した容疑で逮捕され、裁判の結果1,500ランドの罰金刑を受
け、併せ外国から持ち込んだ昆虫類も没収された。(3)2003年12月24日、西ケープ州クランウィリアム近郊において日本人3人
が14匹の亀を不法に捕獲した容疑で逮捕され、裁判の結果各自10万6千ラ
ンドの罰金刑の判決を受けた。
2003年の半年間でこれだけあります。1)のケースは550本もハオルチアを違法に採取しており、静岡市職員よりも多額の罰金を受けています。2003年当時の年平均レートで計算すると約100万円です。
詳細を報じた当時の記事(英語)によると、この人はハオルチアの国際的権威なんだそうです(自称?)。困ったもんだね。
姉さん、南アフリカの刑務所に入ります。
禁固刑になるケースもあります。植物ではないですが、2019年11月にはアルマジロトカゲを所持していた日本人2人が南アフリカで禁固6年と4年の有罪判決を受けています。
South Africa Timesの記事によると、6年の禁固刑を受けたほうの人は、インドネシアとオーストラリアでも爬虫類の密輸で逮捕された前歴があります。
しかもオーストラリアの判決が出たのが2019年7月だから、出てきてすぐ南アフリカで同じことやって捕まってることになりますね。
インドネシアで8ヶ月、オーストラリアで2ヶ月、今度は南アフリカで6年・・・。懲りないですね。こういう人からはパスポートを取り上げるべきだと思います。
日本人が世界で迷惑をかけていたら、ベトナムのことをとやかく言えませんからね。
南アフリカの皆様、「申し訳ございません!!」
姉さん、まとめです。
ブログを始めて植物のことを調べるようになって盗難事件の多さに驚きました。
植物好きには、極端に言えば2種類のタイプがいると思います。植物を育てるのが好きなタイプと、植物を買ったり売ったりするのが好きなタイプです。
ほとんどの人はその中間でしょうし、ルールを守ってやっている分には問題ありません。
ただ後者の場合、希少なものであればあるほど仲間内でドヤれますし、繁殖できれば高く売れ、そこに喜びを見出すわけなので、行き過ぎると上の日本人のように一線を越してしまい、逮捕が待っています。
わたしも学校帰りに人様の花壇のサルビアをとって蜜をチューチューしていた記憶がありますから、あまり偉そうなことは言えないのですが、未来の人たちが植物園に行ってもガラス越しにしか植物を見ることができなくなってしまうとしたら、ちょっと悲しいですよね。
対策としては、防犯と罰則を強化するしかないでしょうね。
ではまた。