多肉植物を育て始めて最初に疑問に思うのは「これってどのくらいの頻度で水やりすればいいの?」ということではないでしょうか。今回は多肉植物の水やりについて考察します。
目次
多肉植物の水やりタイミング
多肉の記事が増え、多肉ブログになりつつある今日この頃、皆様の多肉はお元気でしょうか。春は、ベランダに出て多肉を眺めるのが楽しい季節です。今年はちょっとまだ寒いですが。
さて今回のトピックは、多肉植物の水やりのタイミング。悩ましいですね。
いきなり結論から言いますと、
多肉に訊け。
ということになります。
品種や条件によるので、すべての多肉植物に適した水やりタイミングはありません。
ただ残念ながら多肉は「お水ちょうだい」と言わないので、こちらが察してあげないといけません。
実際のところ、しばらく水をあげなくても多肉植物はそう簡単に枯れません。葉っぱや根が部分的に枯れるかもしれませんが、根から水が吸える状態であれば、水をあげたら復活するものが多いです。
むしろ問題になりやすいのは、水のあげすぎです。
多肉はジューシーである
英語で多肉はSucculent(s)といいますが、語源はラテン語のsuccusという言葉で、これはjuice(ジュース)またはsap(樹液)を意味します。
このsuccusに-ulentus(豊富な)という接尾辞がくっついて、succulentusという形容詞になり、それが17世紀に英語の語彙に取り込まれ、succulentとなりました。
形容詞のsucculentは、たとえばこんなふうに使います。
a big piece of succulent steak
どういう意味でしょうか。
「1枚の大きくてジューシーなステーキ」です。噛むと肉汁がでるということですね。昔の人も多肉を見て「おいしそう」と思ったのでしょうか。というか、食べてみたんでしょう、たぶん。
実際に食べられる多肉として売っているものもありますし、サボテンを食べるところもあるようです。
名詞として用いた場合のsucculentは、「水分を多く蓄えることのできる植物」の総称です。したがって多肉植物は、水がなくてもそう簡単に枯れない仕組みになっています。
余計な遠回りをして同じ結論に戻ってきた気がしますが、要するに、水やりはそんなに頻繁にやらなくても大丈夫です。
水のやりかた
水をあげるときは、鉢内にまんべんなく水がいきわたるようにします。そうすると重力の作用で鉢底に水が落ち、上のほうから乾いていくので、根が水を求めて伸びやすくなります。
少量の水をちょこちょこあげるのはよくありません。新根の多い鉢底まで水が回ることがない、つまり水が吸えない一方で、上のほうはつねに濡れた状態になります。結果として、鉢底の根は枯れ、根元の根は腐ることになります。
表面が乾いていても土の中は湿っています。春や秋はすぐ乾きますし、生育が旺盛なのでさほど問題にはなりませんが、夏は蒸れ、冬は凍結や冷えが心配ですので、乾き気味にしたほうが安全です。
結論として、春は秋はたくさんあげても平気なことが多いですが、夏や冬の水のあげすぎは・・・。くどいですね。
鉢・プランターの排水性
多少雨のかかる場所に置いたプランターでエケベリアを含む多肉を育てていたときは、ほぼ降雨のみでした。ひさしが短かったので大雨が降るとずぶ濡れでした。
排水性のよい土であれば、上のほうは乾き、下のほうはほどよく湿った状態になります。ただ、水抜けの悪い鉢やプランターは下に水がたまってしまうので、とくに夏は、雨ざらしにするのはおすすめできません。
下に穴が1つしかない、かなり大きめの古い陶器鉢に植えた多肉です。土も園芸用培養土だと思います。
夏に雨がかかる場所に置いてあったので、すでに葉が開いて暑そうにしていますが、しばらくしてから中心にあった花うららがバラバラになりました。詳しくは下記の記事をご覧ください。
ここでも結論として、水のあげすぎは・・・。くどいって!
水やりで最も大事なこと
大事なのは、品種や株のコンディションによって水やりの頻度を調整することです。
水が好きな多肉もあれば、あまり水分を必要としない多肉もあります。また季節、植えられた土の配合、鉢の素材・大きさ、日当たりや通気、株の大きさなど、さまざまな条件によって適切な水やり頻度は異なります。
どこかに「週1回」あるいは「月1回」と書いてあったとしても、条件が同じでなければ、多いかもしれませんし、少ないかもしれません。
栽培環境の条件をよく理解して、水やりの頻度を調整しましょう。
とはいえ、成長期には水をあげたほうが、ふっくらしたり、成長したりはしますね。いまのベランダは南向きであたたかく、土も非常に乾きやすいので、最近は週に1回くらいあげています。
品種による違いを観察する
品種によっても水の要求度は違います。観察していると水が好きな多肉とそうでない多肉がわかってくると思います。
右下にあるファンファーレという多肉は、葉が薄く水をそれほど溜め込まないため、わりと水が好きな印象です。サブセシリスなども乾かし気味だと下葉が枯れやすいです。これも葉っぱが薄いからでしょう。レフレクサムなど葉っぱの小さいセダムも、ほかの多肉に合わせて乾かし気味にしていると下葉が枯れてきます。
アロエは根が繊細で、乾かしすぎても、やりすぎても根の状態が悪くなる感じがします。しかも葉っぱを見ただけは根のコンディションがよくわかりません。根がなくてもしばらくは平気な顔をしているのですが、小さすぎると枯れます。
なかなか水やりも奥が深いので、最初はいわゆる普及種から育て、それらを観察して適切な水やり頻度をつかみ、だんだん難しめなものにチャレンジするといいんじゃないでしょうか。
多肉の変化を見る
下葉が枯れると水が足りないと思いがちですが、水が足りていても下葉が枯れることはあります。上に伸びていくタイプの多肉は下葉が枯れるのは普通です。また夏の暑さで下葉が枯れやすくなるものもあります(乙女心など)。
このようなときに水が足りないと思って頻繁に水やりをすると、とくに後者の場合、暑さで弱って下葉を落としているだけなので、さらに弱ることになるでしょう。ただでさえ高温多湿に弱いのに、水をあげたらさらに蒸れてしまいます。
また枯れたように小さくなって冬を越すタイプの多肉もあります。子持ち蓮華や爪蓮華がそうです。寒さに適応するために、水を必要としない状態になっています。枯れているわけではないので、暖かくなって水をあげれば復活します。
また、氷点下になるような寒い屋外で冬越しさせる場合は、水やりを少なくして紅葉させたほうが耐寒性がつきます。寒さと乾燥でアントシアニン(赤色)が増えて赤くなりますが、暖かくなれば紅葉は冷めます。
かといって、まったく水をあげないとものによっては枯れますから、暖かい日の午前中などに土が乾く程度にあげるといいと思います。
おわりに
思いつくことを書いてみましたが、多肉植物といってもいろいろなので、各論的にはいろいろ考えるべきことが多すぎて、これというルールはないのが多肉植物の水やりです。植物の変化を見ながら、経験でつかむしかありません。
また、やらなくてもそう簡単に枯れないのが多肉植物のよさでもあります。面倒だったらあげない、ぐらいでもいいんじゃないかな(適当)。
多肉植物を初めて育てる人は信頼できる本を買ってください。ぜひ。
ではまた。