コロナウイルスの影響で野菜の価格が高くなっています。お庭の一角を耕して、あるいは花壇の一部にキッチンガーデンを設けて、野菜を育ててみてはいかがでしょうか。お庭に畑をつくるプロセスを一からざっくり解説します。
目次
お庭に畑をつくる
数日前にスーパーに買い物に行ったら野菜の値段が急に高くなっていました。外国人労働者が入国できないために収穫作業ができないとか。野菜そのものがないわけではないので一時的なものかもしれませんし、そうであってほしいですね。
当ブログの家庭菜園に関する記事にも急にアクセスが増えています。家庭菜園を始めたいという人が増えているようです。そこでお庭の一角を耕して畑にするプロセスや注意点を解説したいと思います。
畑の場所決め
野菜は日当たりが肝心です。日陰の場所ではよく育ちません。なるべく長時間日が当たる場所を選びましょう。南に遮るもののない場所がベストです。
東側に木があるため、午前中に日陰になる場所に植えられた大根です。日陰になる時間帯があっても育てられないことはありませんが、日当たりのよい場所のほうがベターです。
土を掘り起こす
花壇などは土がすでにやわらかくなっていると思いますが、何も植えていない庭の一角を畑にする場合は、スコップ(シャベル)などで土を深めに耕し、石や木の根、雑草などを取り除きます。
ちなみにスコップとシャベルって関東と関西で逆だそうですね。というか、うちは全部シャベルですかね。スコップってあまり言わない。
スチールパイプ柄ショベル。ショベル?
柄や持ち手が木製のものは、雨のかかる場所に置くと腐ったりボロボロになって抜けたりします。
何も植えてなかった場所は土が固いと思いますが、がんばって掘り返して砕いてください。とくに大根などの根菜を育てたい場合には深めに耕します。
砂利の層にぶつかってしまうなど、何らかの理由で深さが確保できない場合には、コンクリートブロックやレンガブロックなどで囲ってその中に土を入れ、高さを出します。要するにブロックで囲った花壇と同じですね。中に水がたまらないようにしてください。
畑の周りにはレンガを敷いて通路を設けています。雑草もおさえられますし、置いてあるだけなので撤去して畑を拡張するのも容易です。
土壌の改良
土を改良するために土壌改良剤を加えます。土壌改良剤には、有機質のものと無機質のものがあります。
有機質系(生物由来)
・腐葉土
・牛糞堆肥
・バーク堆肥など
うちでよく入れるのは牛糞堆肥です。あと庭のすみで落ち葉堆肥や生ゴミ堆肥をつくっています。
無機質系(非生物由来)
・パーライト
・バーミキュライト
・ゼオライトなど
無機質系の土壌改良剤は、鉱物由来ですので養分はありませんが、水はけがよくなります。観葉植物の土によく入っている白い石がパーライトです。
この辺りは関東ローム層という火山灰由来の粘土質の土なので養分も少なく、じつはあまり畑には適していません。
子どもの頃は、荒地のほうがよく育つサツマイモ畑が多く、遠足はサツマイモ堀りでした。余談ですが、たぶんわたしの最も古い記憶の一つがサツマイモ掘りです。地面から食べ物が出てくることに感動したような気がします。
粘土質で水はけも悪かったので、最初にパーライトを1回だけたくさん入れました。意味があったのかどうかよくわかりませんが、腐葉土や堆肥を混ぜてみても水はけが悪かったら入れてみたらいいんじゃないでしょうか。
野菜を育てているうちに、だんだんといい土になっていきます。あまり土にお金をかけると本末転倒になりますので、ほどほどに。
酸度の調整
何も植えていない土は降雨のために酸性に傾いています。このためアルカリ性の石灰を加えて酸度を調整しなければなりません。石灰も何種類か種類があります。
石灰は肥料と反応するので、植え付けの2週間前に石灰を入れ、1週間前に元肥を施すのがいい、と言われます。
消石灰
消石灰はアルカリ性が高いため、植え付けの2週間前に施します。学校の校庭に線を引くときに使っていた白い粉です。たぶん大量に必要なら一番安いんじゃないかと。重いのでホームセンターで。
苦土石灰
苦土石灰はアルカリ性が低く、家庭菜園向きです。粒状と粉状があります。すぐ肥料を入れていいか、植え付けられるかどうかは袋の説明書きで確認してください。ちなみに下の商品は「種まきは2、3日後」とあります。
牡蠣殻石灰
牡蠣殻石灰はアルカリ性が低く、緩効性なので、すぐ植えることができるそうです。
うちは最初に畑をつくったときに消石灰をまいた記憶がありますが、いまは苦土石灰を使っています。
苗の植え付け
ちょうどゴールデンウィークはホームセンターに行くと野菜の苗がたくさん並んでいます。ただ今年はコロナがね・・・。スーパーにもこの時期は少し野菜の苗が置いてありますね。
夏野菜の苗を購入するタイミングは、気温や地方によっても違いますが、北関東ではゴールデンウィーク前後です。
5月の植え付けおすすめ野菜
5月に植えられる野菜には、ピーマン、ナス、シシトウ、キュウリなどがあります。
とくにピーマンとナスはいろいろ使えて便利です。シシトウは飽きますね。乾燥や水不足でストレスがかかると辛くなるので、少し上達してからのほうがいいかもしれません。
キュウリもたくさんとれるのでおすすめですが、かなり大きくなるので丈夫な支柱とネットが必要です。これは台風で崩壊した年の写真で、今はもっと太い支柱を使っています。
畑の一番南側に東西にキュウリを植えるとその北側が日陰になってしまうので場所をよく考えましょう。うどん粉病(白いカビ)がでやすいので風通しをよくします。
あとは種から育てる枝豆、オクラ。枝豆の収穫は1回きりです。収穫まで80日前後かかります。オクラは上に伸びます。
初心者には少し難しいもの
トマトやプチトマトも家庭菜園の定番のイメージなのですが、トマトは意外と難しいです。けっこう大きくなりますし、雨が多いと実が割れてしまったり、枝が台風で折れたりします。
トマトとプチトマトなら、プチトマトのほうが難しくありません。もちろんいずれもできないわけではないですが、売っているハウスものを上回るかというと・・・。
トマトの原産地は南米アンデス地方の高原で、雨があまり降らないところです。だから雨や湿度が苦手なのです。
とりあえず最初はピーマンかナスを植えればいいんじゃないでしょうか。余裕があればキュウリも。とれたてのキュウリはおいしくてびっくりしますよ。ナスとキュウリは売っているものよりもおいしいのができると思います。ピーマンは普通かな。でも次から次へとたくさんできます。
重要なのはタイミング
冬野菜を初夏に植えたら失敗しますし、夏野菜を秋に植えたら失敗します。タイミングが大事です。たとえばホウレンソウは冬野菜なので今の時期にはあまり適しません。
スーパーでは一年中買えるので本来の旬がわかりにくいですね。気候や土壌によって適した作物は異なるため、ご近所の畑を少し観察してみてください。
よい苗の見分け方
節と節の間が間延びしていないか(徒長している)、土が湿りすぎていないか(売り場で水をやりすぎて根腐れしている)などをチェックしてよい苗を選びましょう。
大きいものを選びがちですが、節と節の間が間延びしているのは徒長です。ヒョロヒョロしているものは避けましょう。
種まきできるもの
枝豆やオクラなど発芽温度が高め(25度から30度)の野菜はこれから種まきしても間に合います。発芽温度が低めの野菜はいまからだとうまく発芽しません。
枝豆やオクラはビニールポットにまいて発芽してから植え付けます。鳥が種を食べるので注意します。
畝を立てる
畑の場合は、植え付けの前に畝を立てて、畝と畝の間に通路を設けたほうが世話がしやすいです。また大雨のときの水はけもよくなります。
よく耕したあとに土を寄せて高くするだけです。マルチは面倒なので使っていません。雑草が生えますがそんなに広い面積ではないので問題ありません。広い面積だと雑草を抜くのが大変なので、マルチをしたほうがいいのかもしれません。
植え付ける前に
その野菜に適切な植え付け間隔や肥料の量を書籍などで確認してから植え付けましょう。
これから家庭菜園を本気でやりたい人には、NHKの家庭菜園の本がおすすめです。うちには旧版があります。
ただ本のとおりにやらないとダメというわけでもないし、数種類だけならネット上の情報でも十分ですよ。あれこれ買って悩んで固まっちゃうのがいちばん良くないですよ。完璧にやっても天気が悪ければ育ちが悪くなりますしね。
「植えろ。植えれば食べられる」
『フィールド・オブ・ドリームス』でケビン・コスナーが言ってましたね(言ってない)。
鉢やプランターでも育てられる
プランターでも野菜は育てられます。少しだけ育てたいならそのほうが簡単です。ただし大きくなるものや横に広がるものはプランターでは難しいです。必要なのは、水はけのよい大きめのプランターや、深さのある大きめの鉢です。
プランターには、底ではなく横に水抜き穴があるものがありますが、雨のあたる場所では底に水が溜まってしまいます。構造的に水が抜けやすいものを探してください。底部がメッシュ状でトレー付きのものがよいと思います。鉢底石は不要です。
ピーマン、シシトウ、ナスなどは大きめのプランターや鉢で育てられます。
ガーデンレタスミックスやサニーレタスなどの結球しないレタスもプランター向きですが、発芽適温・生育適温が少し低いので(15度から20度)、北関東では5月からからだと遅いです。
一般的に言って5月は夏野菜の種まき時期ではなく植え付け時期なので、ごく一部の発芽適温の高いものを除き、種まきからやるのは少し遅いです。
おわりに
家庭菜園は、外出を控えている高齢者のストレス解消にもいいですよ。また日差しを浴びると免疫機能の維持に必要なビタミンDが皮膚で合成されます。
ビタミンDは日本人の半分が欠乏状態と言われています。わたしのように家に閉じこもっているとビタミンDが欠乏してしまいますよ・・・。
ちなみにイギリスの公衆衛生庁(Public Health England)はロックダウン中に国民にビタミンDを摂取することを推奨しています。外出制限で日光を浴びないとビタミンDが欠乏するからです。
うちの畑です。奥のピンクのがわたしです。日光浴をしています。
嘘です(笑)。
ではまた。