観葉植物の定番中の定番ポトス。耐陰性もあり、育てやすくて伸びるのが早いので、初心者におすすめの観葉植物です。ポトスをきれいにボリュームたっぷりに育てるコツを解説します。
目次
ポトスをこんもりさせるコツ
ポトスはさまざまな大きさで販売されていますが、大きい鉢でレアな品種ほどお値段が高いです。ですから3号鉢くらいの小さいサイズのものを購入して大きく育てるのがお得です。時間はかかりますが育てる楽しさがあります。
うちに来てすぐくらいの頃の3号鉢ポトス・ステータス。2年前。
今はこんな感じです。5号鉢に6本くらい植えてあります。斑入り種は緑の部分が少ないのでやや成長は遅いです。
ボリュームアップさせるには、伸びた茎を切って挿し木で増殖させる必要があります。切らないと先端がどんどん伸びていきます。地際から新芽は出ますが、茎の途中から自然に枝分かれすることはないようです。
これは頂芽優勢という植物の特性によるものです。成長ホルモンは先端部で盛んに生成され、側枝の形成を抑制する作用があります。
頂芽すなわち先端を切ると、成長ホルモンの濃度が下がり、切ったところの下から新芽が出やすくなります。
茎がある程度長く伸びてきたらそれを切って挿し木し、あいているスペースに植えてあげましょう。それぞれが長く伸びますのでボリュームアップします。
5号鉢や6号鉢に5、6本植えると豪華になります。株が充実してくると地際からも新芽が出ますが、何本も植えてしまったほうがボリュームのある鉢になります。
挿し木の方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
ポトスの水やりのコツ
ポトスの水やりは簡単です。土が乾き、葉っぱを触って気持ちシナっとしてきたらたっぷりあげましょう。5、6号鉢ならそれほど頻繁にあげる必要はありません。
どちらかというとメリハリの効いた水やりを好みます。水切れしても下の葉から枯れるので、よほど長期間水切れしないかぎり、いきなり全部が枯れるということはないです。
ポトスは東南アジアの亜熱帯から熱帯の出身です。蔓性植物なので他の木に付着根を張って上に登っていく性質があります。
熱帯雨林はほぼ毎日雨が降りますが、短時間でやみます。風も吹きますし、乾季もあります。
熱帯地方のシンガポールにあるシンガポール植物園の中には、レインフォレストウォークという原生林が残されています。そこを歩いていて、レインフォレストというわりには爽やかなだあ、と思いました。
1月だから雨季でしたし雨も降りましたが、地面はそんなにジメジメしてないです。気温は30度くらいあるのですが、レインフォレストウォークの中は日陰なので歩きやすかったですね。
そしてポトスはそういうところに生えている大きな木の下に生えて、幹に根を張りながら上にのぼっていきます。大きな木の下の地面は、うちの庭でもそうですが、軽い雨では案外と濡れません。
根を見ると蘭やアロエに近い太さとハリがあり、保水性が高いと思われます。このような植物は水切れにも耐える仕様になっているので、水をやりすぎると根腐れしやすいです。
ポトスの根を育てるコツ
これも上に書いたことと関連がありますが、植物の根は水を求めて伸びていきます。
土がずっと濡れていると伸びる必要がないのであまり伸びません。水をあげるときは鉢のなかに水が行き渡るように水をたっぷりあげる必要があるのもこのためです。
土は上から乾いていきますので、根が水を求めて下に伸びていくわけです。上のほうにちょこっとだけ頻繁に水をあげていると伸びる必要がないので伸びていきません。
たっぷり水をあげる、乾く。たっぷり水をあげる、乾く。この繰り返しが根の成長を促します。適した乾き具合は植物によります。
健康な根をたくさん増やすことが上手に育てるコツです。
土が乾くのが遅いのは危険なサインです。また根鉢よりも何倍も大きな鉢にいきなり植えてしまうと土が乾きにくく、これまた根腐れしやすくなります。
白い健康な根が少ない場合は要注意です。
葉水は・・・
わたしは基本的に葉水はしません。蘭やシダ系の植物には、台所で水をあげるときに上からザーッとかけることもあります。
一般的に植物は、葉っぱがずっと濡れている状態は好みません。
熱帯雨林では毎日スコールが降りますが、気温も高く風もあるので葉っぱはすぐ乾きます。室内だと風もないし、何より気温が足りません。
とくに冬は、葉を濡らすと気化熱によって熱が奪われ冷えてしまいます。観葉植物は暖かい地方の植物が多く、ただでさえ冬はつらい寒さにさらされています。葉っぱが茶色く変色して枯れたりします。
沖縄育ちの人が真冬に北海道に連れてこられ、水責めにあってるイメージです。たぶん。
葉の先端から水が出る
ポトスはたっぷり水をあげると葉の先端から水を排出する機能を持っています。これは溢液現象(いつえきげんしょう)とよばれます。カタカナで「グッテーション」ともいうようですが、英語の発音は「ガテイション」が近いです。
英語の綴り guttation
発音記号 gʌtéiʃən
はい、リピートアフターミー。
ガテイション。
以下、グッテーションで統一します。ガテイションだと検索にヒットしないからです(笑)。
グッテーションは夜間に起きる現象なので、朝になると水が出ています。
水が多いと「ノー、サンキュー」と排出してしまうわけです。
これは自然な生理現象なので問題はないのですが、過剰な水分を排出する仕組みを持つということは、あまり水膨れしている状態を好まないということだと思います。
うちにある植物ではセロームも同じく先端から水を排出します。ポトスと同じサトイモ科です。グッテーションは維管束植物(シダ植物と種子植物)に生じ、イチゴとかイネとかでも起きるそうです。
ポトスの葉がシミのように茶色くなる
ときどきポトスの葉が一部薄茶色や黒になることがありますが、これは上記のように蒸散や排水で追いつかないほどの水を吸ってしまったときに起きるものではないかと思います。いわゆる浮腫(むくみ)です。
浮腫(0edemaまたはedema)とは病気ではなく植物の生理的障害です。蒸散能力を上回る水分を根が吸収すると、上下表皮細胞の間にある葉肉細胞が水分で膨張し、内圧が高まります。それによって表皮細胞に亀裂が生じてしまうものと考えられています。
とくに葉の裏側に生じ、茶色いカサカサやボツボツのようなものができる場合もあります。
冬は蒸散能力も低くなりますから、夏と同じように水やりをするとこのような状態になりやすいと思います。病気ではないですが、気になるなら切りましょう。
植え替え
鉢が小さくなったら一回り大きな鉢に植え替えましょう。3号鉢、4号鉢、5号鉢と1サイズまたは2サイズずつあげていくのがいいです。植え替えからしばらく根が張るまでは土が乾きにくくなりますので、根腐れに気をつけましょう。
時期は元気よく成長しているときがいいです。初夏がベストですね。
基本的に植え替えはダメージとなりますので、調子の悪い株はやらないでください。小さめの鉢に根がいっぱいになったら少しずつ鉢を大きくしましょう。
用土
普通の観葉植物用の土で大丈夫です。ほどほどの保水性のある排水性の高い土がよいです。
観葉植物の土にはだいたいパーライトという白い小粒の石が入っていて、これが排水性を高めます。
だいたいこの土を使っています。Amazonで買えて安いからです。水はけがよい土です。よすぎる感じがしないでもないけど、まあ問題はありません。
前にコメリの通販で買ったのがすごくよかった気がするんだけど、送料(550円)かかるんですよね。でもいろいろ買うなら安いですよ。近くにあるなら自分で行くのが一番安いですけど。
吊り鉢は5号くらいが軽くていいよね。
ポトスの葉を大きくする
ポトスは他の木に巻きついて上に登っていく蔓性植物で、本来は上に伸びるのを好みます。ですから何かに着生させて上に伸ばしてあげると葉が大きくなり、下に下垂させると葉が小さくなります。
このため昔はヘゴ支柱仕立てのものが多く、ポトスというとあの大きなヘゴ仕立てのが一般的だった気がするんです。
ところが、このあいだ暴れまくるフィロデンドロンをヘゴ仕立てにしようかと思って調べたところ、一時期の乱獲によって自生地の個体数が減ってしまったそうなんですね。
その結果、現在ヘゴ原木は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称ワシントン条約)」によって取引が規制されており、輸入量が決められているため希少品なんだそうです。
そういや最近見ないよね。
売ってはいるけれども。
ワシントン条約の附属書IIに記載されており、「現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの」に該当します。
ヘゴ仕立てのポトスを育てている人はヘゴも大切にしてください。ついでに「これはワシントン条約で規制されていてね〜」と蘊蓄を披露してください(笑)。
これは奇跡の星の植物館に生えてたヒカゲヘゴ(後ろ)。でかい。ランもでかい。
今も入手できるのですが、どうしてもっていうのでなければプラスチックやココヤシ繊維の支柱もありますよ。
自分は吊り鉢が好きかな。
置き場所
南向きの部屋の窓のそばで育てていますが、ひさしがあるので真夏は室内に日差しがあまり入りません。吊り鉢はエアコンのダクトに吊るし、もう1つはIKEAの脚立の上に置いています。
照度を測ってみましたが、200ルクス前後です。エアコンの下のほうが窓に近いですが、角度の関係で暗いです。
ポトスは耐陰性が比較的強い植物です。
前に外国のDIY系YouTuberが「真っ暗なトイレでも枯れない植物はどれだ?」という実験をしていたのですが、ダントツでポトスの勝利でした。
とはいえ、ずっと真っ暗な場所に置くといずれは枯れると思います。
斑入りの葉っぱが白すぎる?
うちのは両方とも斑入り種ですが、日の当たらない壁側から出た葉っぱは白い部分が多いです。真っ白ではなく薄黄色です。
逆にフィカス・アルテシーマは暗いところだと斑が消えて緑になってしまいます。暗いと葉緑素を増やして補おうとするからです。
ポトスの場合は逆ですかね? 葉緑素をつくるパワーが足りなくなるのでしょうか?
先端部分のほうが白っぽいので、暗いと新芽や新葉が白っぽくなって、だんだん葉緑素ができてくると緑色になるのかもしれません。
緑の濃い品種よりも白っぽい品種のほうがさわやかで個人的にはおすすめです。昔のポトスのイメージを覆す美しさがあります。
斑入り品種は葉緑素が少ないので成長が遅いと思われます。
耐寒性
熱帯の植物なので耐寒性はなく、沖縄などを除き、冬は外では育てられません。
今の部屋は人がいるときで16度前後、留守時の人がいないときで11度くらいまで下がりますが、それくらいなら問題ありません。ずっと10度以下のような場所だとちょっと心配です。
また寒い時期は成長が遅くなり水をあまり吸わなくなるので、夏と同じように水をあげていると調子を崩します。
水は蒸発するときに気化熱で周囲から熱を奪うので、土も植物も冷えます。観葉植物には、できるだけ暖かい日に水をあげましょう。
ポトスの品種
ポトスはさまざまな品種があります。コレクションしちゃう?
ゴールデン・ポトス。どこでも売ってるタフなやつ。昭和風味。
ライム・ポトス。芥川賞受賞。
ポトス・マーブルクイーン。うちのマーブルクイーンっぽいのはホームセンターで298円で買った名無しです。
これは5号だから少しお高め。でも3号から5号に昇格するには冬寒いところだと1年くらいかかりますよ。
ポトスマーブルっていうのは同じなの? 3号だからこっちのが安いです。
ポトス・エンジョイ。
以上はホームセンターでもよく見かける品種です。以下レア度が上がる。
ポトス・ステータス。エンジョイの枝がわり。
ポトス・テルノシャングリラ。もはやポトスじゃない感。いい意味で。
テルノ・シャンゼリゼ。
テルノ・サンシャイン。テルノ系の名付けは謎に満ちていますが、法則性を見出した気がする。「シャ」です(断言)。
このほかテルノ・ビーナス、テルノ・カーニバル、テルノ・ハナハナ、テルノ・ファンファーレ、テルノ・アリスなどの品種があるようです。
あ、シャは関係なかったですね(笑)。
グローバルグリーン。2020年の新品種だそうです。迷彩柄っぽいですね。エンジョイの枝がわりだそうです。いいな、これほしい。
このほかにも種類がありますが、似ているのも多いので、個性が違うタイプを集めるといいですね。
おわりに
5400字も書いてしまった。誰が最後まで読むんでしょうか(笑)。
あ、読みました? ありがとうございます。
ポトスの記事はほかにも2つあります。よかったらご覧ください。
100円ショップの吊り鉢をレビュー。ポトスステータスを植え替えました
ではまた。