冷蔵庫に保存してある種を整理していたら、5年前に採取したパンジーの種が出てきました。パンジー・ビオラの種まきで最も重要なのは温度です。ペットボトル(または氷枕)とキッチンペーパーを使用した早まきの方法を解説します。
目次
パンジー・ビオラの早まき方法
パンジーとビオラは、欧州に自生していた三色スミレ(Viola tricolor)に他の野生種を交配させることによって誕生しました。花の大きいものがパンジーと呼ばれ、小さいものがビオラと呼ばれます。
一般的に秋まきして春に咲かせますが、秋になると苗が園芸店に出回ります。これらは花農家さんが温度管理をして早めに成長させた苗です。
2015年にルーフバルコニーで種から咲かせたパンジーとビオラです。ちょっと珍しい色なので種をとっておいたのですが、そのまま5年も失念。冷蔵庫のなかでずっと眠っていました。
採取した種から同じような花が咲くとはかぎらないのですが、9月なので種まき実験を行うことにしました。
発芽は温度が重要
パンジーとビオラの発芽適温は20度前後です。まだ気温が高いうちにまくと失敗します。25度以上だとがくっと発芽率が落ちるそうです。
以前8月下旬にまいたときは、なかなか発芽せずに失敗したかと思いましたが、涼しくなってきたら発芽しました。
関東の場合は、9月下旬まで待たないと気温が高いと思います。
早めにまいて早めに苗づくりをしたいならば、ペットボトル、氷枕、保冷剤などで冷やしてあげるのがおすすめです。
キッチンペーパーにまいてみた
発芽まで冷やす必要があるので、今回はキッチンペーパーにまいて発根してから土に植えることにしました。キッチンペーパーまきは初めてです。理科実験みたいで楽しいです。
水を入れて凍らせたペットボトル2本の上にアルミバットを置き、そのうえに濡らしたキッチンペーパーをしいて、種をまきました。
ちなみにわたしはいつも冷凍庫にペットボトルを2本ほど凍らせて入れてあります。冷凍庫はものが入っているほうが冷えますし、災害時に保冷剤のかわりになるからです。
種が水を吸って膨れるのが発芽の第一段階ですから、しっかり水を含むように上からも霧吹きで水をかけます。
ペットボトルが溶けてきたら、氷枕と交換しました。氷枕でもペットボトルでも保冷剤でも冷えるものならなんでもいいです。
アルミバットにしたのは、アルミは熱伝導性が高いからです。かなりキッチンペーパーが冷たくなり、アルミバットの表面に結露が発生します。
もちろん種が凍ってしまうとダメなので、冷たすぎるようであれば、タオルをあいだにしいて調整してください。
交換は朝と夜の2回行いました。完全に溶けたら交換するくらいで大丈夫です。室温は27〜29度くらいでした。
3日後くらいから発根しはじめました。
キッチンペーパーでは根が入っていけませんので、早めに移植しないといけません。発根したものからピンセットで土に移植します。
わたしは場所がないので15センチの鉢2つに移植しました。種の数にあわせて適度な大きさの鉢に移植してください。小さいポットやプラグトレーがあれば、この段階で単独で植えてしまってもいいです。
鉢やポットに早めに移植
土は園芸用培養土などの軽めで細かめの土を使用します。土をあらかじめしっかり濡らしておきます。
ピンセットで種の部分をそっとつかみ、根を傷つけないようにして、できるだけ根の先端が下を向くように(そのままの姿勢で)土に植えます。
表皮が割れて根が少し出ていればもう移植して大丈夫です。
あまり深く植えると土から出てこれませんので、種が少し見えるくらいに浅めに植えます。浅すぎて根が外に出てしまうのもよくありません。
また種の上に重いものがのっていると押し上げることができないので双葉が開けません。ピンセットで取り除いてあげましょう。
土に植えたら屋外や室内の日陰に置きます。もう冷やす必要はありません。徐々に日に慣らします。まだデリケートなので直射日光にいきなり当てたり、乾かしたりしないようにします。
窓際に移動したら真っ白だった根が数時間で黄色っぽくなり、細根が出てきました。すごいスピードで変化します。いつもは変化を見ていないので、見ていると面白いですね。
さらにベランダの日陰に移動。夏の高温は基本的に苦手なので涼しい場所に置きます。
根が土中に伸びていくと、種の部分が押し上げられ、種の中から双葉が出てきます。
これは以前種まきしたときの写真ですが、本葉が出てきたら小さなポットなどに移植して育苗し、ポットに根が張ったら庭やプランターに植えます。
好光性?嫌光性?
パンジー・ビオラは好光性種子だと種を買ったときの袋に書いてあった気がするのですが、英語で検索すると「完全に真っ暗な場所に置く」と書いてあるサイトが多いです。
どちらが正しいのでしょうか?
少なくとも完全に真っ暗じゃなくても100%近く発芽しましたので、「完全に真っ暗」は違うかなと。
でも保冷バッグとかで完全に真っ暗な状態で発芽させてる人もいるみたいなんですよね。発芽率はどうなんでしょうかね? タキイのサイトにも好光性種子だと書いてあるので、たぶんそうなんだろうと思いますけど・・・。
今回やってみた感じとしては、普通に室内の明るい場所で大丈夫な感じでした。窓際は暑かったので避けました。
でも発芽してからは、すぐに明るい場所に移動しないと、育つスピードが速いのでモヤシになってしまいます。
発芽のタイムライン
今回の発芽のタイムラインを整理します。
9月11日 キッチンペーパーに種まき。数時間で種が割れてくる。
9月15日 発根した先発組を1鉢目に移植。
9月17日 後発組を2鉢目に移植。ベランダの日陰へ。
9月18日 午前数株の双葉が開く。午後さらに多くの双葉が開く。
9月19日 双葉がほぼ出揃う。
残ったのは未熟な種だけ。5年前の自己採取の種なのに100%に近い発芽率を達成しました。
ただ、これはたぶん同じ花が咲く気がするんですよねえ・・・。同じ株の種なんじゃないかなあ。咲いてみないとわからないですが。
おわりに
5年前の種がこんなに発芽すると思っていなかったので、全部まいてしまいました。パンジーって発芽率が意外と落ちないんですね。
もう気温が下がってきているところも多いと思うので、ふつうにまいてもいいと思いますが、毎年うまく発芽させられないという人は、気温が高いのが原因かも知れません。温度を少し下げてやってみてください。
今回の方法は100%に近い発芽率だったので、種を無駄にしない効果もあるんじゃないでしょうか。ただ、移植の時に気をつけないと根を傷めますからピンセットは必須ですね。
わたしはこの極細タイプのピンセットを愛用しています。先が曲がっているタイプも欲しいな。
自分のまいたのはロココ という古い品種の種ですが、よく売ってる種で似たような感じなのはこのフリズルシズルというのですかね。
ではまた。
パンジー・ビオラの早まき方法を動画で見る
(追記)動画にまとめてみたので、よかったらご覧ください。