スウェーデン

スウェーデンにある理想の暮らし。カール・ラーションの家と教会を訪問、の巻

カール・ラーションの家

今年(2018年)は日本・スウェーデンの外交関係樹立150年を記念する年にあたり、現在、東郷青児記念・損保ジャパン日本興亜美術館でスウェーデンの国民画家カール・ラーションの作品が展示されています。彼が創り上げた理想の家「リッラ・ヒュットネース」をご紹介します。

カール・ラーション記念館

スウェーデンを代表する画家カール・ラーション(1853~1919)。国立美術館の壁画や人々の暮らしを描いた水彩画で知られる彼は、ダーラナ地方の小さな村「スンドボーン村」に移り住み、手仕事の得意な妻とともに理想の家を作り上げました。

カール・ラーションの家

その家「リッラ・ヒュットネース」は、現在カールラーション記念館(カール・ラーション・ゴーデン)として公開されており、少人数のガイドツアーで内部を見学することができます。

夫妻はこの家で7人の子どもを育てました。ここでの一家の暮らしは1899年に出版された画集『わたしの家』に描かれています。

カール・ラーション わたしの家

「お母さんと娘たちの部屋」

カール・ラーション わたしの家

「片隅で」

内部は狭く、また貴重な家財がたくさんあるため、時間指定のガイドツアーでしか入れません。

また英語のツアーとスウェーデン語のツアーに分けられているので、早めに行ってチケットを購入し、時間があったら周辺を散策しましょう。内部は残念ながら写真撮影禁止です。

Flowers on the windowsill

「窓辺の花」

妻のカーリンは手仕事が好きで、テキスタイルや家具のデザインに才能を発揮しました。彼女が手がけた刺繍やテキスタイルも展示されています。イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動とも通じるものがありますね。

カール・ラーション記念館公式サイト(英語)で内部の写真を見ることができます。とてもきれいなサイトなのでぜひどうぞ。わたしが行ったのは2013年なので、いろいろ変わっているかもしれません。確認のうえ、訪問してください。

このほか、ギャラリー、ショップ、カフェ、ガーデンなどが併設されています。

ダーラナホース

買わなくて後悔したダーラナホース。このタイプはここでしか見ませんでした。地元の工房で作ったものでしょうか。丸っこいのは、どこでも売っています。

スンドボーン

村にある陶器のお店。村全体がかわいらしい雰囲気です。

スウェーデンの伝統的な家に使用されるこの赤い塗料は、ここファールン市にある鉱山で採れた銅を原料としています。

ファールン銅鉱山は世界遺産に指定されており、見学も可能ですので時間があったら寄ってみてください(下記参照)。

 

ラーション夫妻が眠るスンドボーン教会

せっかくスンドボーンまで来たら、ぜひこの教会にも立ち寄ってください。小さなかわいらしい教会です。

スンドボーン教会

カール・ラーションが内装にかかわり、壁画を描きました。緑色の壁が好きですね。

スンドボーン教会

祭壇の上部では天使が祈りを捧げています。

スンドボーン教会

洗礼者ヨハネ。

スンドボーン教会

この教会でスンドボーン村の子どもたちは洗礼を受けるわけですね。

スンドボーン教会

オルガンの下にはお花。ミッドサマーのお祭りではお花をたくさん使います。

スンドボーン教会

裏手には墓地があります。

スンドボーン教会

カール・ラーションが妻カーリンと一緒に静かに眠っています。

ちなみに、カール・ラーションの父親はアルコール依存症で今でいう「毒親」だったらしく、親子の折り合いは父親が亡くなるまで悪かったそうです。

カール・ラーションが自伝でそのことを詳しく書いたところ、「カール・ラーションのイメージが壊れる」と親族の反対にあい、父親について書いた箇所は最近まで削除されていたそうです。当時を知る親族が亡くなったために、最近になって公開されるようになった、とガイドさんが言っていました。

自分が子どもの頃に苦しんだからこそ、彼は妻とともにあたたかい家庭をつくることに人一倍こだわったのかもしれません。その作品には、家族への、暮らしへの愛があふれています。スウェーデンの家庭を描いた国民画家として愛される所以ではないでしょうか。

その最も重要な作品とも言える「リッラ・ヒュットネース」。ぜひスウェーデンに行くことがあれば、訪れてみてください。

 

世界一大きいダーラナホース

スンドボーンへ行く途中のアーベスタという町の高速沿い(70号)に「世界一大きいダーラナホース」があります。

世界一大きいダーラナホース

黄色いセイタカアワダチソウが咲いています。大きさがわかるでしょうか。よく見るとペイントが剥げ剥げですが、近くにはショップや工房もあり、さまざまな大きさのダーラナホースを購入できます。

スウェーデンを象徴する伝統工芸品であるダーラナホース(ダーラヘスト)。この木彫りの馬は、もともとダーラナ地方の農民が子どものためのおもちゃとして作っていたものでした。手作りなため、大きいものはけっこうなお値段がします。

 

世界遺産ファールンの大銅山地域

ファールン銅鉱山

さらに時間があったらファールンの大銅山跡も見学してみてください。巨大な穴があります。産業史的には重要なところらしいです。日本の富岡製糸場的なポジションでしょうか。

 

おわりに

日本・スウェーデン国交150周年というのは、じつは今年スウェーデンに行って、カール・フォン・リンネのサマーハウスを訪問したらガイドさんが教えてくれたのです。まったく知りませんでした。「リンネの資料が、いま日本に行ってるのよ!」と言っていました。まったく世間の情報に触れないので、カール・ラーション展も見逃すところでした。行かねば。

カール・ラーション展は東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で12月24日までの開催です。

この本を会場で購入しました。スウェーデンの素朴で美しい暮らしの原点に触れることができます。

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