ロンドンの中心部のケンジントン&チェルシー王立区にあるチェルシー薬草園(チェルシー・フィジック・ガーデン)。観光スポット巡りやお買い物の合間に小さなガーデンのカフェで休憩はいかが。ロンドンパスで入れます。
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チェルシー薬草園(Chelsea Physic Garden)
チェルシー・フラワー・ショーが開催されるチェルシー王立病院の近くにあるチェルシー薬草園。1673年、薬剤師名誉協会(Worshipful Society of Apothecaries)によって設立されたこの薬草園は、イギリスで2番目に歴史のある薬草園です。
その後、1713年に博物学者のハンス・スローンが隣接する荘園を購入して土地を広げ、いまの薬草園になりました。
だから彼の像が立っているんですね。「この人誰なの?」と思ってた(笑)。大英博物館も彼が寄贈したコレクションがもとになっているそうです。すごいですね!
ちょっときみきみ、予習が足りんよ、ついてきなさい、と黒猫登場。
あっ、はい、すみません。白い靴下がすてきですね。こちらの方ですか?
この薬草園では、世界中から集められた5000種類もの薬草を見ることができる。ハーブとか漢方とか、昔の人が薬に使った植物のことだな。植物というのはとても役に立つんだよ。あのプラントハンターとして有名なジョゼフ・バンクスも、かつてここで植物を研究していたんだ。
そうなんですか! 知りませんでした。同じ場所にいるなんて、わくわくしますねえ。
しかも周りが高級住宅街だから雰囲気がいいだろう。ぼくはあの右のレンガの建物の1階に住んでいるんだ。
いいとこの人なんですね、いや、猫なんですね。
いいとこってほどでもないさ。あそこで生まれたんじゃないしね。僕はテムズ川の橋の下で生まれたんだ。生粋のロンドンっ子さ。だけど小さい頃に、母と生き別れてしまってね。ある日、食べ物を探しに出かけたっきり帰ってこなかったんだ。ほら、あの向こうがテムズ川だよ。
あ、ここってテムズ川のそばなんだ。で、そのあとどうしたんですか。
どうもこうもないさ。とにかく生きていかなきゃいけないからね。でも幸いなことに、ある日そこの塀をよじ登ってなかに入ってみたら、こんなにきれいで静かな場所があったってわけさ。
ああ、そうなんですね。外は車が多くて危ないですもんね。でも食べ物は?
そこにカフェがあるだろう。あの裏口にたどり着いて、あそこの人たちがお客さんの食べ残しのサーモンやらチキンやらをめぐんでくれたのさ。初めて食べたときはおいしくて涙が出たよ。いまじゃもう飽きたがね。
贅沢ですね(笑)。
ほら見てごらん、トリカブトだよ。英語ではMonk’s hoodというんだ。修道僧は頭巾をかぶっているだろう。あれに似ているからだよ。きれいな花だが、猛毒だから、うっかりかじったりしないようにな。
かじりませんよ(笑)。植物にも詳しいんですね、さすが。で、その後、どうしたんですか。
いまの家の人がここの常連でね。ここは会員になると無料で入れるから、近所の人は天気のいい日によく日向ぼっこしにくるのさ。それでカフェの人が紹介してくれて、同居することになったってわけ。
ラッキーですねえ。なかなかないですよ、そんなうまく行くこと。
まあね。運もあったかもしれんな。その後は楽しくやってるよ。同居人も優しい人だ。でも昼間は暇だから、ここに来て、観光客をボランティアでガイドしているんだ。なかなか有名な場所みたいで、いろいろな国からお客さんが来るし、こちらもいろいろ勉強になるよ。夕方には友人たちとの集会もあるんだ。
充実してますねえ。うらやましい。
ゼラニウムの温室だ。天気の悪い日はここが集会場所になる。いまは夏だから暑いけど、冬は風が遮られるからポカポカして暖かいんだ。
歴史を感じる小さな温室がいくつもあって雰囲気がいいですね。
ここはキッチンガーデン。ボランティアが野菜の世話をしている。土がほかほかしていて、いい場所なんだが、ぼくらがなかに入ると追い出されてしまうんだ。外から入ってきたやつが、前にここで用を足したようでね。いつものメンバーはちゃんと心得てるんだが。
それはいけませんね。
さて、最後はボーダー花壇。この一角がいまはいちばん花が多いな。スタッフが季節の花をいつも植えているんだ。薬草は地味な花が多いからね。ガーデンなのに花が少ないっていうお客さんが最近はいるんだよ。ここは薬草が中心なんでね。困ったもんだね。
そうなんですね。やっぱり来るなら春ですかね。
いや、せっかくロンドンに来るなら、開いているときにはいつでも来てほしいね。その季節なりのよさがあるんだよ。1月はスノードロップの開花中に開園しているよ。さて、暑いのに一周して疲れたんで、ぼくはこの日陰でお昼寝していくよ。では失礼(ごろん)。
な、何を撮っているんだ。恥ずかしいじゃないか、やめなさい。え、ブログに載せる? 園芸ブログ? tabiniwa.com? すまん、スマホを持っていないんだ。まあいい、好きにしなさい。おすすめのスポットとしてちゃんと紹介するんだぞ。ロンドンパスを持ってると無料で入れるからな。カフェをおすすめするのも忘れるなよ。
はい、わかりました。きょうはどうもありがとうございました。たいへん楽しかったです。またいつか。お元気で。
〜〜終わり〜〜
ふぁんふぁんふぁん・・・。はっ、ブログを書きながら寝てしまった。夢の中になんか猫が・・・。あれっ、書けてる。なんだこれ(汗)。
チェルシー薬草園の行き方
最寄り駅はスローンスクエア (Sloane Square)です。駅から徒歩13分。
駅を出たら前の道を渡って少し進み、左に曲がってLower Sloane Streetに入ります。まっすぐ行くとRoyal Hospital Road にぶつかります。右に曲がってまっすぐ進み、国立陸軍博物館の前を通り過ぎ、交差点で反対側(進行方向左側)に渡ります。左手にSwan Walkという小道があります。この道は交差点ではないので手前で反対側に渡っておかないと通り過ぎてしまいます。Swan Walkを進むと薬草園の入口があります。目立たないので気付きにくいかもしれません。
一般入り口はSwan Walkという一方通行の細い道に面しています。車椅子など段差を避けたい利用者のための入口は、66 Royal Hospital Roadにあると書いてあります。バス停のところだと思います(常時開いているのかは不明)。
バスで行く場合は、ヴィクトリア駅行きの170番のバスがチェルシー薬草園に停車します。
行く前に営業中か確認
3月から10月が通常の営業シーズンで、冬季(2019年11月4日から2020年2月28日)は不定期の営業です。イベントのあるときだけオープンしています。公式サイトで確認してください。
来季の営業シーズンについては、現時点では10時からオープンとしか書いていません。お休みの日も多いのでご注意を。
わたしが訪問したのは7月頭でした。ここにかぎらず、お花を見るためにイギリスに行くなら5月から6月がいいと思います。
入場料(冬季シーズン)
大人: £9.50*/£7.50
割引(15歳以下): £5*/£4.50
家族チケット(大人2人・子ども3人): £25*/£24.15
5歳以下: 無料
*任意の寄付付きチケット。
ロンドンパス(London Pass )ホルダーは無料
ロンドンの観光名所をおトクに回れるロンドンパス。チェルシー薬草園のほか、園芸好きなら一度は訪れたいキューガーデンも含まれています。
ロンドン塔、ウエストミンスター寺院、セントポール、タワーブリッジなど、誰でも一度は行くような有名スポットが含まれているので、初めてロンドンに行く人には利用価値が高いです。郊外まで足を延ばすならウィンザー城やハンプトンコートも。ホップオン・ホップオフのバスも利用できるから、使いようによってはバス代も節約できますね。もとを取るには入念なプランニングが重要ですけど。
いまブラックフライデーで3割引になっています。割引時に購入するといいですね。
おわりに
近所の猫も遊びに来るチェルシー薬草園。観光客だけでなく地元の人にも愛されてきた歴史あるガーデンです。スタッフによるガイドツアーなどイベントもちょくちょく開催していますので、関心のある方はぜひ参加してみてください。なんかいま温室のスタッフ募集してる。ロンドンに住んでたら応募したいなあ・・・。
あっ、自分は利用しませんでしたが、ガーデンカフェもおすすめみたいですよ。
行く前にはチェルシー薬草園公式サイト(英語)で最新情報を確認してね。
ではまた。
「憧れのイングリッシュガーデンと猫」ってカレンダーどうかな。売れると思うんだけど。