丈夫で育てやすい観葉植物の代表のようなストレリチア・レギネ(レギナエ)。極楽鳥花とも呼ばれ、大きくなればオレンジまたは黄色の鳥のような花を咲かせます。種が入手できれば種から育てることもできます。発芽のコツや育て方について解説します。
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ストレリチア・レギネ(極楽鳥花)
ストレリチア・レギネ(Strelitzia reginae)は南アフリカ原産の常緑多年草です。鳥のような花を咲かせるため、日本語では極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)、英語ではBird of Paradise(バード・オブ・パラダイス)とも呼ばれます。
ストレリチアには他にニコライ(Strelitzia Nicolai)という種類もあり、こちらは非常に大きく育ち(10メートル)、白い花を咲かせます。レギネのほうがコンパクト(2メートル)なため家庭向きです。
Reginaeとは「王妃の」という意味で、ストレリチアという名前は、ジョージ3世の王妃であったソフィア・シャーロット・オブ・メクレンバーグ=ストレリッツにちなんでいます。王妃はキューガーデンの設立にも協力したほど植物が好きだったそうです。
日本では極楽鳥花というと一般的にオレンジの花がよく売られています。わたしもそれしか見たことがなかったのですが、数年前に黄花種の写真を初めて見て、透明感のある美しさに衝撃を受けました。
単純に黄色が好きなだけかもしれませんけど。
ただ調べてみると、日本では黄花種の流通が非常に少ないことがわかりました。昨年、園芸店で黄花の開花株を初めて見たのですが、名前がついていたので誰かが注文したのかもしれません。
そこで、だったら種から育ててみようと、南アフリカからマンデラズゴールド(Mandela’s Gold)という黄花園芸品種の種を取り寄せてみたのでした。
南アフリカのヤフオクみたいなところで買ったのですが、マンデラズゴールドの種10粒を買ったら、レギネの種20粒とプヤミラビリスとモラエアとグロリオサの種がついてきました。おまけつけすぎ(笑)。
ストレリチア・レギネを種から育てる
種は、黒豆のようなツルツルした大きい種です。オレンジの綿毛がついていますが、これはとります。
種皮が厚く、もともと発芽しにくい植物なので、プロはエスレルという植物ホルモン剤を使って発芽させるそうです。エスレルは天然の植物ホルモンのエチレンと同じ作用をするホルモン剤です。
エスレルを使用しない場合、4〜8週間で約50%が発芽し、さらに30%が1年以内にぽつぽつと発芽します。エスレルを使用すると、4〜8週間で80%が発芽します。(Strelitzia reginae ‘Mandela’s Gold’)
エスレルの溶液(2000ppm)に48時間ほど吸水させてからまくそうですが、自分は吸水もしなかったと思います。
ストレリチア・レギネの発芽条件・適期
一番重要なのは温度です。25度以上を維持することが必要です。3号くらいのポットまきがいいです。種の1〜1.5倍の深さにまきます。
わたしは2014年の9月に種を購入してすぐにまいたのですが、まだ暑いから大丈夫かと思いきや、一部しか発芽しませんでした。最初の年に発芽したのは1つか2つだったような・・・。
でも発芽しなかったポットを翌夏までそのままにしておいたら、8月に入ってぽつぽつ発芽しました。発芽まで4〜8週間かかるわけですから、8月にまくのは遅いかもしれません。春から初夏にまけば、8月の猛暑時に発芽するんじゃないでしょうか。
熱帯夜の頃の最適なタイミングを逃すと、おそらく翌夏まで待つことになります。冬は保温マットの上に置いてみたりもしましたが、発芽しなかったです。
25度以上をコンスタントに維持することが必要なので、夜も25度以上となると日本では熱帯夜の頃になります。土が乾きやすくなるので、乾かさないように。
種が休眠から目覚めると、硬い殻から太く白い根がニョキッと先に出てきます。この休眠からの覚醒を促進するのがホルモン剤です。
最終的には7本発芽しました(うち2本がマンデラズゴールド)。最初から初夏にまいていたら、もっと発芽したのかも。
ストレリチア・レギネの育て方
ではその後の成長をご覧いただきながら、育て方について解説します。
2年目、2015年の秋です。右の2つは発芽したばかりです。100円ショップでもこれくらいのサイズのが売っているらしいですが、わたしは残念ながら見たことがありません。
観葉植物は暖かい地方からきた植物が多いので、寒い地方では冬に成長が止まります。ストレリチアの原産地である南アフリカは亜熱帯から地中海性気候で、一年を通じて温暖です。
最初の年に発芽した株も冬から初夏にかけては、あまり成長しませんでした。翌年早めに発芽したのが、すぐに同じ大きさに追いつきました。
2016年3月です。難しいのは発芽だけで、その後はどんどん根が太くなるので植え替えが必要です。根にあわせて鉢を大きくしていったほうが早く大きくなります。植え替えないと鉢底ネットの隙間から太い根が出てきます。
その後、5号や6号に順次植え替えましたが、しだいに興味が薄れました(笑)。同じような鉢を7つも面倒見られません!
暖かい季節は問題ないのですが、室内に取り込むと邪魔になるようになってしまったので、冬もベランダに出しっぱなしにしてしまいました。
氷点下にならなければ枯れないですが、風や乾燥で葉が傷むので、きれいにキープしたいならば室内に取り込んだほうがいいです。
葉が内側に巻くのは、水が足りないか空気が乾燥しているかだと思います。おそらく蒸散を防ぐためです。
いまの部屋に引っ越してきてからは基本的に室内に置いています。外に出すときは、いきなり日に当てて葉が焼けないように気をつけましょう。
引っ越してきたときに少し外に出していたら、左から3枚目の葉が黒く焼けてしまいました。葉っぱがどんどん出る植物ではないので、痛んでしまうとみっともなくなります。
葉を切るときは付け根の上で切っておくと、残った部分もしだいに枯れてきて、全部むしり取れるようになります。
根元が玉ねぎのように重なっているため、いちばん外側の葉はきれいに下まで取り除けますが、内側の葉は取り除けません。
2019年5月です。外で日に当てたほうが伸びるんでしょうけど、そんなに大きくもしたくないんですよね。大きくしないと咲かないですけどね。
勢いで種まきしたものの、ストレリチアは開花まで時間がかかります。理想的な環境で3年、そうでない場合は5年から7年だそうです。
理想的な環境というのは外で太陽の光を浴びて、冬もそこそこ暖かくて成長が止まらない場合でしょうか。あと鉢増しか・・・。
2020年6月現在です。この2つがマンデラズゴールドです。鉢がそんなに大きくないわりには背丈が出てきました。右の鉢は140センチくらい、左は110センチくらいです。室内に置いてるから、葉が伸びすぎなだけかな。
このままでは咲かないかなあ。それに本当に黄色の花が咲くのかなっていう・・・。
この根っこがびっしり生えていて、植え替えが本当に一苦労なんです。土は普通の観葉植物の土や余った土を再利用して使用しています。
肥料は成長している時期に液肥をたまにあげています。
分蘖(ぶんげつ)
ストレリチアは一定の大きさに成長すると横から新芽が出てきて株分かれします。これを分蘖(ぶんげつ)といいます。
「ぶんけつ」でも「プリケツ」でもありません。「ぶんげつ」です。
わたしも知りませんでした(笑)。蘖って「ひこばえ」のことなんですね。
上の写真はあまり待遇の良くない普通のレギネです。おまけでもらった種から生えたやつです。
去年5号鉢から大きい鉢に植え替えました。その後、縮れた葉っぱが2枚同時に出てくるので病気かなと思っていたら、なんと分蘖しました!
横っ腹からボコっと新芽が出ているのに加えて、土の中からも新芽が出てきました。土の中はどうなっているのでしょうか。怖い・・・。
水やり
太い多肉質の根に水分を保持しているので、そう簡単には枯れません。非常に丈夫です。留守がちな人でも2週間くらいは余裕です。たぶん3週間でも枯れない気がします。1ヶ月はどうかな・・・。水が足りないと外側の葉が枯れます。
逆にあまり頻繁に水をあげると根が腐るかもしれません。メリハリのある水やりが大事です。
日当たり
ストレリチアは日光が好きな植物です。気温が上がってきたら、できるだけ日に当ててあげましょう。一年を通じて室内で育てる場合も、できるだけ明るい場所に置いたほうがよく育ちます。
外に出すときは日焼けに注意します。日光に慣れていれば直射日光でも大丈夫ですが、室内から外に出すと慣れてないので日焼けします。
ストレリチアかな? マデイラ島です。リスボンでもストレリチアをよく見ました。日当たりのよい肥沃な土に植えてあります。
おわりに
種から育てなくてもストレリチア・レギネはホームセンターで購入できますが、気長に待てるなら種から育ててみるのも面白いですよ。
あまり観葉植物の種って売っていませんが、ストレリチア・レギネの種はたまにみかけます。国華園でも以前売ってたんですけど、いまはないですね。
今だと楽天でジョンソンズ・シードの種が売っています。
5号鉢のストレリチア・レギネです。まあ普通はこういうの買うよね・・・。
たねからそだててもいいじゃないか。
へんじんだもの・・・。
ではまた。