今回からイギリスのガーデン訪問記をまとめていこうと思います。第1回目はイギリス南東部ウエストサセックスにあるパーラムハウス&ガーデンズ(Parham House and Gardens)です。
もともと個人所有のお屋敷であるためあまり有名なスポットではありませんが、ガーデンも邸宅もすばらしく、ぜひまた訪れたいと思う場所です。
近くの駅からバスで行くことができますので、イギリスでガーデンを訪問したい方は、ぜひ候補に検討してみてください。
パーラムハウスへの行き方
パーラムハウスの最寄駅はPulborough(プルバラ)で、この駅から100番のバス(Burgess Hill行き、7分)で行くことができます。
Google Mapに表示されるバス停「Village Hall」だと入口を少し通り過ぎてしまうので、バスの運転手にパーラムハウスに行きたいので降ろしてくださいと言っておくと、入口の前で降ろしてくれます。入口は駅から行くと道の反対側にあります。
このような看板がありますので、この小道を入っていきます。そしてここから延々と歩きます。20分くらいかかるでしょうか。ここがパーラムハウス訪問の最大の難関(笑)。
てくてくてくてく、ひたすら歩く。何にもない。日陰もない。単調ですが、景色はいいです。車で行くなら、ここは車で通れます。日差しのある日に徒歩で行く場合には、帽子があったほうがいいかもしれません。季節と天気にもよりますが、水もあったほうがいいんじゃないかと思います。それくらい距離があります。
ようやくお屋敷の門に到着しました。あまりにも喉が渇いたのでカフェで休憩しました。上の写真で人が出てくるところがカフェの入口です。
邸宅とガーデンのチケットが大人11ポンド、ガーデンのみが9ポンドです。
詳しくは公式サイトの営業時間と料金のページでご確認ください。
ガーデン
邸内もぜひ見学してほしいのですが、先にガーデンをご紹介します。チケット売り場の奥を入って右へまっすぐ行くと石壁に囲まれたウォールドガーデンがあります。このウォールドガーデンもそこそこの広さがあります。
このようなすてきな門の向こうにガーデンが広がっています。わたしが訪問したのは2015年の6月12日です。入って右手には植物売り場があります。
ガーデンのカラースキームは、緑、紫、黄色、そして差し色にピンクといった感じ。このサイトと同じく、わたしの好きなカラースキームです。植物の生育がとてもよく、地面が見えないほどです。
いつ頃訪問すべきかは悩むところですが、咲き具合を見るともう少しあとでも楽しめそうでした。ただ暑い時期だと門まで歩くのがつらいですし、アリウムなど咲き終わってしまうものもあります。
黄色と手前の紫の組み合わせがすてき。さらに、ぽんぽんと薄めと濃いめのピンクを配置。晴れていたので写真のコントラストが強すぎますかね。
アリウムがあちこちにたくさん咲いていました。奥はキングサリ? 藤棚もありましたが、そちらは咲き終わっていました。
手押し車も絵になる水色です。イギリスでは深緑の手押し車をよく見かけますが、水色もおしゃれですね。日本で売っているのはだいたい赤ですけど。深さもいいなあ。うちにある赤いのは、もうタイヤが壊れてしまったのですが、浅くてそんなに土が入りません。本当は工事現場などで使うものなのでしょうか。
後ろの木の下には大きく育ったユーフォルビア。ユーフォルビアは暑さと湿気が苦手なので、うちでは地植えすると梅雨の時期に枯れてしまいます。なので、春に花が咲いたあとに切って挿し木にして、生き残った挿し木をまた植えています。そうすればなくなることはないのですが、当然ながらこんなに大きくなりませんね。東京のバルコニーでは夏を乗り越えて2年ほどがんばっていましたが、昨年の夏に2週間留守にしたらさすがに枯れました・・・。
温室
パーラムハウスのウォールドガーデンで一番気に入ったのがこの小さな温室です! 細長い通路のようになっていて、多肉植物、ゼラニウム、ペラルゴニウム、フクシア、熱帯花木などがあります。
温室ってなかなか手が行き届いていない場合があったりするのですが、ここは他の場所もそうですが、植物がすべて元気がよくて、管理がいいなあと思いました。
見事なエケベリア丼。これって1株なんですかね? 後ろではクジャクサボテン系の花が咲いています。
縦の写真が続きます。写真ではあまり伝わらないですが、両側にびっしりぎっしりと鉢がならんでいて、いろいろな種類の花が咲いています。宝くじがあたったらこんな温室たてるんだ・・・。宝くじ買わないけど(笑)。
これはなんでしょう? ペラルゴニウムとかゼラニウムとかそういう系なのかなと思いますが、きれいでした。
これもなんでしょう。変わった形の白い花。明るい温室できらきらしていました。
こちらは反対側から。両側から出られるようになっていて、一方の入口はガーデン道具置き場になっています。
古そうですが、現役で使っているのでしょうか。石壁に黒い鉄(?)の用具。絵になりますね。
ローズガーデン
狭いですがバラがたくさん植わっているエリアもあります。このエリアはピンク、紫、ブルーでまとめてありました。
植物はバラのほかにジャーマンアイリス、ジギタリス、シャクヤクなどがありました。
ここのバラは元気いっぱいでした。つぼみの数も茎の太さもすごいです。
写真があまり多いと重くなってしまうので、ガーデンのほうはこのくらいにしまして、つぎに邸宅内をご紹介します。
邸宅内
一番上の写真と同じ部屋ですが、ダイニングルームです。城やお屋敷は室内が薄暗いことが多いのですが、ここはびっくりするほど室内が明るくて絵画がとてもきれいでした。まったく事前知識がなかったのですが、邸内も見学する価値があります。
所有者であったClive & Alicia Pearson夫妻は、この邸宅を1922年に購入して修復しました。購入当時は荒れ放題で、室内の絵画や家具は、Parhamにかつてあったものなどを60年ほどかけてひとつひとつ買い集めたものだそうです。
現在は慈善信託の所有になっていますが、いまもひ孫にあたる方(女性です)とそのご家族がこの邸宅の一部にお住まいです。
子爵の家柄のピアソン家は、建設業で成功し、莫大な財産を築きました。ニューヨークのハドソンリバーにかかるトンネルなどアメリカで大規模な公共事業を受注し、その後は出版業に進出。現在のピアソン社になっています。
1611 年に肖像画家のロバート・ピークが描いたプリンス・オブ・ウェールズ(王太子)、ヘンリー・フレデリック・スチュアートの肖像画です。
ヘンリーは、ハンサムで出来がよくて、将来優れた王になるだろうと期待されていました。そのことを象徴するように、「時の翁(Father Time)」を従えて、勇ましく狩りに出かける場面が描かれています。
ところが、残念なことに、彼はチフスで若くして世を去ってしまいます。そして、この絵の背景は真っ黒に塗りつぶされてしまいました。
このことが判明したのは1985年。パーラムハウスがこの絵をワシントンの美術館に貸し出した際にX線にかけたところ、背景の下に元の絵があることがわかったのです。
いったい誰が黒く塗るように命じたんでしょうかね。優秀な後継者を失った悲しみだったのかもしれません。あるいは、時の翁は、死神と同じく大釜を持ち、命を刻々と「刈る」時間というものを象徴しているため、この絵のせいだと思った人がいたのかもしれません。
邸内には庭の花がいけてあります。肖像画や家具のほか、古い刺繍のコレクションもあります。
小さなショップもありますので、帰る前にチェックしてみてください。ヘンリー王太子の肖像画が表紙になっているパーラムハウスのガイドブックを購入しました。あらためて中身を眺めてみて気づいたのですが、見ていない場所がある・・・。また行きたいな・・・。
帰りは、また歩いて大きな道に戻ります。バスの道に戻ったら、駅とは反対の方向に少し歩くと100番のバス停があります。バスの時間はあらかじめ確認しておきましょう。
わたしはアランデルに1泊してアランデル城とあわせて訪問しましたが、ヴィクトリア駅から歩きを入れても2時間ちょっとですから、ロンドンから日帰りできる距離だと思います。
イギリスのお庭や古いお屋敷がお好きでしたらぜひ訪問してみてください。