イギリス, ガーデニング

イギリスのブルーベルの森を歩く。開花時期、固有種・交雑種の見分け方、の巻

ブルーベル

イギリスらしい景色の一つ、ブルーベルの森。春にイギリスに行くならば、ぜひブルーベルの森に行ってみてください。コッツウォルズ北部にあるブルーベルの絨毯が見られるガーデンをご紹介します。

キフツゲートコートガーデンのブルーベルの森

今年はゴールデンウィークが10日連休だそうなので、イギリスに行かれる人も多いのではないかと思います。4月下旬から5月下旬は、イギリスのガーデンの盛りには少々早いのですが、ブルーベルの森はこの時期でないと見ることができません。

ブルーベルキフツゲートコートガーデン

コッツウォルズ北部にあるキフツゲートコートガーデンのブルーベルの森(Bluebell Woods)です。

斜面にたくさんのブルーベルが咲いており、その中に小道があります。静かで、聞こえるのは小鳥の声だけ。斜面は降りられませんが、下のほうまでブルーベルが咲いています。

ブルーベルキフツゲートコートガーデン

ここはヒドコートマナーガーデンのついでに行ってみただけで、ブルーベルの森があることさえ知らなかったのですが、写真を撮っていたら他のお客さんが「あっちは行った? ブルーベルがたくさん咲いていてきれいだよ」と教えてくれました。

ブルーベルキフツゲートコートガーデン

イングリッシュブルーベルは半日陰を好み、開けた場所は好まないので、小道沿いよりも奥の木陰にたくさん生えています。

ブルーベル チューリップ ヒドコート

ここから少し歩いてヒドコートマナーガーデンに行くことができます。ヒドコートではチューリップの植栽のなかに咲いていました。

このほかコッツウォルズのフットパスにもブルーベルのたくさん咲いている場所がありました。

 

キフツゲートコートガーデンの行き方

わたしはストラトフォードアポンエイヴォンからタクシーで行きましたが、タクシー代が結構かかった記憶があります。

キフツゲートコートガーデンの公式サイト

公式サイトによるとHoneybourneという駅が一番近く、タクシーで15分だそうです。でも片道3000円前後はかかるようです。田舎なので予約が必要でしょう。ヒドコートとキフツゲートのあいだは歩けます。

 

イングリッシュブルーベルとスパニッシュブルーベル

ブルーベルにはイギリス固有種のイングリッシュブルーベルと外来種のスパニッシュブルーベルがあり、さらに現在は両種の交雑種が存在しています。

イギリスではこの交雑種が広範囲に広がり、固有種が脅かされているそうです。

ブルーベル

ヒドコートマナーガーデンでは、咲いているブルーベルの花をカットしていました。早めにカットして球根を太らせるのかもしれませんが、ひょっとして交雑を防ぐためだったのでしょうか。

スパニッシュブルーベルは、日本では「シラーカンパニュラータ」とか「シラーヒスパニカ」という名前で流通していることが多いです。

楽天市場でシラーカンパニュラータを探す

シラーカンパニュラータは前に球根を買って花を見てみましたが、こんな感じで紫色っぽくはなくペールブルーでした。半日陰がいいので木陰に地植えしたら雑草と一緒に刈り取られてしまったのか、もうしばらく見ていないですが・・・。

スパニッシュブルーベルならば、似ているけど区別がつきます。イングリッシュブルーベルとの自然交配種または交配種となると、厳密にはDNAを調べないと区別は難しいんじゃないかなと思います。

 

イングリッシュブルーベルの特徴

  • 濃いバイオレットブルー(しかし白やピンクもある)
  • うつむいている
  • 花の大部分が茎の片側についている
  • 花は細長く、両サイドが平行
  • 花弁の先がくるんと上を向いている
  • 強い甘い香りがある
  • 木陰などの半日陰で育つ

交雑種の特徴

  • 薄いブルーからブルー(しかし白やピンクもある)
  • 茎が硬く直立している(うつむいていることもある)
  • 花が茎の片側だけでなく全体についている
  • 花弁の先が開いていてくるんと上を向いていない
  • 香りが弱い、またはない
  • 日向でも育つ

ブルーベル

これは交雑種かしら。ヒドコートにあったので、交配した園芸品種かな。日向にあるし、色もちょっと薄めで、花が広がっていて、先があまりくるんとしてないです。こういうものだと思えばきれいです。

ブルーベル

純粋かどうかはわからないけど、上のに比べれば、茎が細くて、一方にうつむいていて、花が細長くて、先がタコウインナーのようにくるんとしていて、紫が濃い、固有種に近い感じのブルーベル。

困ったことに、交雑種のほうが花壇ではゴージャスに見えるかもしれない・・・。固有種っぽいのは花弁が傷みやすい印象です。

 

ブルーベルの開花時期

ブルーベルの開花時期は、だいたい4月下旬から5月下旬までです。しかし、この期間ならばどこに行っても咲いているというものではありません。

ブルーベル キフツゲートコートガーデン

当記事の写真は5月20日に撮影しました(キフツゲートとヒドコート)。この年は気温が非常に低く、5月下旬でも肌寒かったです。ここ数年はイギリスも気温が高いので、場所によっては5月下旬だと遅いかもしれません。

ブルーベル

公式サイトを見ると開花情報やそのヒントが得られるので、計画を立てる際にはガーデンの公式サイトを確認しましょう。

たとえば、LanhydrockというNational Trustが管理するガーデンの公式サイトを見ると、5月11日に予定されていたブルーベルウォークがキャンセルになっています。開花時期が早いのかもしれません。4月27日のイベントはやるようです。

 

ブルーベルが見られる場所

National Trustの公式サイトには、ブルーベルが見られる各地のガーデン(英語)についてのページがあり、地方別にリスト化されています。

ロンドンからさほど遠くないガーデンで、ブルーベルで有名なところとしてはEmmets Gardenがあります。近くにはチャートウェル、シシングハースト、グレートディクスターなど名所がたくさんあるので、車であれば一緒に周れるでしょう。

National Trustは、複数の施設を訪問する場合には、パスを購入するのがお得です。

ブルーベルキフツゲートコートガーデン

ロンドン周辺ではTime Outの記事(英語)にロンドン周辺のブルーベルマップがあります。キューガーデンにもブルーベルの咲いているエリアがあります。

あとイギリス各地にあるフットパスにもこの時期はブルーベルが咲いています。ただし人家に近いほど交雑種が多いのではないかと思います。

 

おわりに

昨日も厄介者のナガミヒナゲシから生物多様性について考えていたのですが、人間やモノの移動によって自然界の生物多様性が失われてしまうのは残念なことですね。

遺伝的に近く自然交雑しやすい場合、持ち込んでしまうと取り除くのは不可能でしょう。でもブルーベルが悪いわけじゃないので、どちらもきれいですよ。ぜひ地方のガーデンにも足を運んでみてください。

ではまた。

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