初夏に華やかな花を咲かせるジャーマンアイリス。丈夫で育てやすく、植えっぱなしでも年々株が増えて、たくさんの花を咲かせるようになります。育て方のポイントや優秀品種に与えられる「ダイクスメダル」について解説します。
ジャーマンアイリス
ジャーマンアイリス(学名 Iris Germanica)はアヤメ科の多年草です。品種改良によって作出された園芸品種で、英語では一般的にBearded Iris(ビアデッド・アイリス)と呼ばれます。Beardedというのは「ヒゲの生えた」という意味です。
黄色のヒゲが生えていますね。このモコモコしている部分がわたしは好きなのですが、ヒゲってそんな・・・。おっさんか・・・。
乾燥気味の土を好み、非常に強健なので、地植えすれば、あとは放っておくだけでもよく咲き、年々株が増えていきます。
増えすぎると場所をとるため、数年前にだいぶ抜いてしまったのですが、その前は庭のあちこちに咲いていました。場所をとるのが欠点ですかね。
育て方のポイント
水はけのよい、日の当たる場所に植え付けます。ジャーマンアイリスは、地下茎が肥大化し根茎を形成します。生姜や山芋のような見た目のものが地際にあります。これを水はけのよい土に浅めに植え付けます。
うちでは高畝にはしていませんが、水はけが悪い場所では、高畝にして水がたまらないようにするといいでしょう。
球根と違って細根もついているので根付きやすいです。バキバキッと引っこ抜いた根茎をその辺に転がしておいても気づいたら根付いているくらいです。
一方で、この根茎は水分を含んでいるので、水はけの悪い場所に深く植えると腐ってしまう恐れがあります。梅雨の時期は避けたほうがいいかもしれません。
水やりは、基本的に地植えであれば降雨のみで大丈夫です。花が咲いたら茎を切って種をつけないようにします。
晩秋になると葉が枯れるので、つけておいてもいずれなくなりますが、冬の間に切っておくときれいです。
これはチェルシーフラワーショーのディスプレイですが、このように他の植物と混植しても、おそらく数年経つとジャーマンアイリスの花壇になってしまうのではないかという気がします。
根茎が地面を覆ってしまうので、他の植物が生えにくくなります。
密集しすぎたら抜く
基本的に植えっぱなしですが、数年経つと、とくに障害物があるために横に広がることができない場所では、根茎が重なり合ってしまい、花が倒れたり、花付きが悪くなります。
花数が減ってきたら、上になってしまった根茎を抜いて少し整理してあげましょう。
肥料は多すぎるとかえって花付きが悪くなるそうです。
品種選びの参考に「ダイクスメダル」
場所をとる植物なので、好みのお花をよく選んで購入しましょう。あれもこれも植えると、数年後、かなりスペースをとることになります。広い庭ならそれもいいですが・・・。
ジャーマンアイリスには「ダイクスメダル」という優れた品種に与えられる賞があります。
ダイクスメダルは、ジャーマンアイリスの育種家であった英国人のウィリアム・リカットソン・ダイクスの功績を記念して創設された賞です。
ダイクスは、カール・フォン・リンネの分類法に基づきアヤメ属の全品種を分類し、「The Genus Iris」(1914年)という図版にまとめ、近代アヤメ属の分類の基礎を形作りました。
図版は48枚の水彩画で構成されています。ダイクスさんは水彩画を描いてくれる画家の家に、咲いたばかりのアイリスを持って朝の5時にガウン姿でやってきたそうです。朝の5時って(笑)。
ところが1925年、ダイクスさんは英国王立園芸協会から最高栄誉賞を与えられた翌年に48歳の若さで事故死してしまいます。
1927年、英国アイリス協会は、彼の功績を讃えてダイクスメダルを創設しました。
同年に米国アイリス協会もダイクスメダルを創設し、日本では一般的にダイクスメダルというとアメリカン・ダイクスメダルを指します。
アメリカン・ダイクスメダルの歴代受賞品種は、米国アイリス協会のサイトで見られます。普通っぽいのもあれば、変わったのもありますね。
受賞品種でなくても好きな色や形のものを選ぶのがいいと思いますが、品種選びの参考にはなるかと思います。
購入時の注意点
購入するときは、売り場にずっと置いてあって干からびているのは避けましょう。チューリップの球根などと違って1つしか入っていないので、状態をよく見て購入したほうがいいです。
ビニール入りの根茎と根付いているポット苗ならば、ポット苗のほうがいいでしょう。さらに言えば、咲いている状態で花色が好みかどうかを確認できるとベストですね。
さまざまな花色があるのもジャーマンアイリスの魅力です。お好きな色・形のものを探して植えてみてください。
おわりに
ダイクスさんについて調べていたら時間がかかってしまった・・・。園芸について調べ始めると、面白い人の情報に行き着くので、時間があっという間に過ぎてしまいます。
ふむ、うちにもダイクスメダル品種を導入したい。
ではまた。